写真:東京地下鉄2000系 編集部撮影 中野車両基地にて 2018-10-11(取材協力:東京地下鉄)
東京地下鉄(東京メトロ)と三菱電機・日立製作所の3社は,東京メトロ丸ノ内線への無線式列車制御(CBTC)システムについて,令和7年度「第73回電気科学技術奨励賞」を共同受賞したと発表した.

▲贈呈式のようす(左から東京地下鉄,三菱電機,日立製作所)
CBTCシステムは,東京メトロ丸ノ内線の信号保安設備更新にあわせて,日本の地下鉄として初めて導入された.地上装置が先行列車の位置などにもとづいて走行可能な位置を算出し,無線を介して後続列車に伝え,後続列車が自ら走行可能な速度を計算して運行を制御する.
従来の信号保安装置で列車検知に使用されていた軌道回路から脱却し(脱軌道回路),地上・車上双方の高性能演算装置と,耐干渉性の高い無線装置による連続的な無線伝送を活用することで,高い安全性と安定性を実現している.
評価された技術的要点は,脱軌道回路の採用により,障害に強いシステムの構築が可能となったほか,列車位置の認識精度を,従来の最短50m程度から0.1m単位に向上させたことで,後続列車の走行可能位置を連続的に変更する移動閉そくに対応した.これにより,先行列車に後続列車が逐次追従して運転することが可能となり,遅延回復能力の向上が図られている.また,無線の双方向通信により,保安を確保した逆方向運転などが可能となり,列車運行の自由度の向上にも貢献している.
▲ATCシステム(従来の信号保安装置)とCBTCシステムによる列車制御の比較
自動列車運転装置(ATO)においては,CBTCシステムからの先行列車の位置通知にもとづき追従用運転パターンを生成し,最適な加減速制御を実施することで,駅間停車頻度の削減及び乗り心地の向上が図られている.
CBTCシステムは,2024(令和6)年12月7日(土)から運用を開始しており,平日朝の通勤時間帯(始発~10時)では,5分以上の列車遅延が発生した場合に発行する「遅延証明書」の発行日数が,切替え前と比較して約6割減少した.また,平日朝の通勤時間帯における,車両混雑に起因する最大遅延時間についても,切替え前の5分を超える遅延から,現行で2分程度に抑えられる日が多くなっており,運行の安定性が向上している.
一部画像は日立製作所提供











