
写真:JR東日本E235系 編集部撮影 東京総合車両センターにて 2015-3-28(取材協力:JR東日本)
JR東日本は,2026(令和8)年3月14日(土)の運賃改定にともない変更となる,旅客運賃の計算方法と制度の変更(通算加算方式の導入,東海道新幹線と東海道本線の別線化など)の詳細を発表した.
JR東日本からJRの他社にまたがって利用する場合には,全利用区間の営業キロ数に対応する基準額に,境界駅からJR東日本区間の営業キロに対する加算額を加えた「通算加算方式」により運賃算出を行なう.

▲図1
東京—熱海間では,現行では東海道新幹線と東海道本線(在来線)を同一の線路として運賃計算しているが,運賃改定により運賃が異なるようになるため,改定後は異なる線路として計算する.これにともない,東京—熱海間を含む普通乗車券については,東海道新幹線経由と東海道本線(在来線)経由の場合を区別して発売する.この結果,利用の区間・経路によって運賃計算経路がこれまでと異なる場合が発生する.なお,東海道新幹線(東京—熱海間)を含む定期券については値上げとなるが,利用方法に変更はない.
▲図2
東京付近の特定区間を通過する場合の特例(旅客営業規則第70条)は,東海道新幹線(東京・品川間)を除いて,引き続き適用される.
図2内の太線区間を通過する場合,太線区間の入口の駅から出口の駅の普通旅客運賃・料金は,後戻りしたり再度同じ駅を通らない限り,実際に乗車する経路にかかわらず,太線区間の最短経路の営業キロで計算する.ただし,東海道新幹線(東京—品川間)は太線区間に含まれない.

▲図3
「東京都区内」・「東京山手線内」制度は,運賃改定後も引き続き適用されるが,品川駅以遠(新横浜方面)を東海道新幹線で利用する場合,東京—品川間は新幹線経由で計算し,それ以外の場合は東京—品川間を在来線経由で計算する.
また「横浜市内」制度が適用される乗車券についても,東海道新幹線 新横浜駅経由で乗車する場合は,新横浜駅を中心駅として運賃計算を行なう.東海道新幹線以外の経路を利用する場合は,これまでどおり,横浜駅を中心駅として運賃計算を行なう.

▲図4
運賃改定にともない,東京—熱海間において東海道新幹線経由と東海道本線(在来線)経由の場合を区別して発売し,利用する経路どおりの乗車券を購入ため,図4の選択乗車区間(3区間)を廃止する.

写真:JR東日本E5系量産車 編集部撮影 新幹線総合車両センターにて 2010-12-14 (取材協力:JR東日本)
運賃改定は,普通旅客運賃・定期旅客運賃のほか,FREX・FREXパル,グリーン定期券,入場券も対象となる.
新幹線定期券FREX(通勤用)・FREXパル(通学用)は,在来線経由の定期運賃と新幹線特急料金相当額を合算した金額となるため,運賃改定にともない値上げとなる.なお,現行と同様に新幹線や定期区間内の並行する在来線の乗車が可能となる.東海道新幹線 東京—熱海間を利用する場合も同様に,運賃改定にあわせて値上げとなるが,効力に変更はなく東海道本線(在来線)の有効区間を利用できる.
FREXパル(通学用)については,東京—上野—大宮間および東京—品川—新横浜間を除き,発売額が据え置きとなる.
グリーン定期券は,通勤定期運賃とグリーン料金相当額を合算した金額となるため,運賃改定にあわせて値上げとなる.
入場券の発売額は,改定後の初乗り運賃と同額に改定される.なお,一部のJR他社やほかの鉄道事業者との共同使用駅については金額が異なる場合があるとしている.

写真:JR東日本E233系3000番代 編集部撮影 田町車両センターにて 2011-11-30(取材協力:JR東日本)
特急料金・グリーン料金などの料金については改定しない.特別企画乗車券(割引きっぷ)は,発売額の見直しを行なう予定で,詳細が決まり次第発表される.気仙沼線BRT,大船渡線BRT(バス高速輸送システム)の運賃は,運賃改定にあわせて値上げとなる.
鉄道駅バリアフリー料金は廃止する.ただし,東海道新幹線(東京—品川間)の鉄道駅バリアフリー料金は継続される.これにともない,2022(令和4)年4月に届出を行なったバリアフリー整備・徴収計画を変更するべく,国土交通省関東運輸局へ届出を行なっている.変更後のバリアフリー整備・徴収計画は,JR東日本のページで公表されている.なお,ホームドアをはじめとするバリアフリー設備の整備や維持更新は,引き続き計画的に実施される.
運賃改定の詳細については,運賃改定特設WEBサイトや運賃改定詳細パンフレットで公開されている.また,改定前後の運賃などを調べることができる運賃検索案内サービスの提供も開始している.
一部画像はJR東日本提供