鉄道ファン2025年11月号(通巻775号)
『鉄道ファン』2025年11月号
2025年9月20日発売
定価1300円(税込)

JR東日本,新たな新幹線専用検測車「E927形」の開発に着手
〜次期秋田新幹線の車両をベース〜

JR東日本,新たな新幹線専用検測車「E927形」の開発に着手

▲新たな新幹線専用検測車「E927形」の先頭形状イメージ

JR東日本は,新たな新幹線専用検測車「E927形」の開発に着手し,2029(令和11)年度に導入すると発表した.

JR東日本E926形「East i」

写真:JR東日本E926形「East i」  編集部撮影  仙台総合車両所にて  2001-9-19(取材協力:JR東日本)

 導入にあたっては,5方面の新幹線ネットワークを有し,方面ごとに編成が異なることから,全方面で共通使用できる専用検測車とする.新たな新幹線専用検測車は,同時に開発を行なう次期秋田新幹線(E6系の後継車)をベースとして最高速度320km/hに対応した新在直通車両となる.
 AI,DXの技術を活用し,320km/hでの高速走行での検測に対応するとともに,省人化や遠隔からの無人検測の実現に取り組む.さらに,営業車と同様に自動運転導入の検討を進める.

JR東日本,新たな新幹線専用検測車「E927形」の開発に着手

▲軌道変位検測装置の変更

 現在の926形「East i」では,複数のセンサを用いて基準線からレールまでの距離を測定する方式を採用しているが,275km/hを超える速度での検測には対応できないという課題があった.今後は,床下に搭載した1つの装置にセンサ類を集約した検測方式へと移行し,E956形「ALFA-X」で試験開発してきた2次元レーザーによる多点測定を導入する.これにより,より細かく正確なデータの取得が可能となり,高速かつ高精度な検測が実現する.

JR東日本,新たな新幹線専用検測車「E927形」の開発に着手

▲電車線金具検査の変更

 保守用車からの人力による至近距離検査に代わり,カメラで撮影した画像から電車線金具をAIで検知する.その画像をスクリーニングして電車線設備の良否の判定を行なうことで,検査の品質を向上する.

JR東日本,新たな新幹線専用検測車「E927形」の開発に着手

▲トロリ線状態装置の変更

 現行のレーザ光のしゅう動面(パンタフラフと接する面)からの反射による残存直径の測定から,スリット光を用いたトロリ線下部形状のカメラ撮影に変更する.取得した画像よりトロリ線の断面形状や位置を把握することで摩耗状態などを高精度に検測する.
 デザイン(カラーリング)は,JR東日本グループの社員の応募作品の中から選定を行なう予定.デザインの監修は,E10系のデザインを手がけているtangerine社が担当する.選定されたデザインを考案した社員とtangerine社が連携し,2026(令和8)年夏ごろを目指して実車に向けた細部のデザインを仕上げていく.
 今回開発されるE927形と,ベースとなる次期秋田新幹線車両の詳細な仕様は,決まり次第,改めて発表される.

一部画像は,JR東日本ニュースリリースから

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