
写真:東京地下鉄2000系 編集部撮影 中野車両基地にて 2018-10-11(取材協力:東京地下鉄)
東京メトロ,公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研),日立製作所,三菱電機,NTTコミュニケーションズは,第五世代移動通信設備(5G)を活用し,地下のトンネル内や地上の線路内などに設置された地上設備と列車間での通信を実現するための実証試験を実施したと発表した.

この実証試験は,2024(令和6)年8月から2025(令和7)年3月にかけて,東京メトロ丸ノ内線の新大塚—後楽園間に,パブリック(公衆網)/ローカル(自営網)5Gを用いて,欧州を中心に規格の検討がされている次世代の鉄道向け無線通信基盤「FRMCS」を参照した鉄道用通信基盤のプロトタイプを構築したもの.
「パブリック/ローカル5G,専用無線設備の地下/地上空間における電波伝搬特性の調査」,「地上・列車間でのさまざまな条件下で所要の通信品質の比較検証」,「鉄道用通信基盤上でCBTCシステムを用いた制御試験およびセンサや画像などの鉄道用各種データ伝送試験などの実施・機能確認」をそれぞれ検証した.
試験結果から,通信の安定性により各種鉄道システムが問題なく機能し,5Gと鉄道用通信基盤の有用性が確認された.特に5Gを活用したCBTCシステムの営業線における実証試験は,国内で初めての取組となる.

今回の実証試験を通じて,5Gを用いた鉄道用通信基盤の有効性が確認されたため,試験結果や仕様案などを業界団体が主催している鉄道用の通信基盤の構築や5G活用などの共通化に向けた活動へ提供し,鉄道業界の標準化活動へ貢献するとしている.
汎用性が高い5G技術の鉄道システムへの活用を可能とすることで,鉄道の維持管理コストの低減が期待でき,都市圏はもとより,地方路線においても,鉄道事業運営の持続可能性を高め,沿線価値や沿線住民の利便性の維持・向上を図る.
さらには,国際標準化への提案などにより,国際的プロジェクトへの参入時のハードルを引き下げ,海外鉄道ビジネスの展開にも貢献するとしている.
一部画像は東京メトロ提供