
▲Prismo
三菱重工業は,2000年代から全世界へ納入してきた全自動無人運転車両システム(AGT:Automated uideway Transit)Crystal Moverファミリーの新たなブランドとして,より環境に配慮した「Prismo(プリズモ)」をこのほど開発し,市場に投入したと発表した.
「Prismo」は,当社が新たに開発したエネルギーマネジメントシステムを初採用し,駅での急速充電と走行中の回生蓄電を融合させることでエネルギー効率を高めている.これにより,駅間の架線をなくし(架線レス化),シンプルなシステムを実現し,全自動無人運転の世界を次のステージへ導く.
本エネルギーマネジメントシステムには,武蔵エナジーソリューションズと三菱電機が共同開発している次世代蓄電モジュール「MHPB(Mitsubishi High Power Battery)」を,AGT用にカスタマイズして搭載している.
このシステムの採用により,運行中の車両の減速時に発生する回生電力を車両に無駄なく蓄電・活用することで,従来のAGTシステムと比べ約10%の省エネ運行が可能となり,約10%の二酸化炭素排出量削減を図る.また,駅間の架線による給電が必要ないため,万一の停電時も次の駅まで支障なく乗客を送り届けることができる.
さらに「Prismo」は,センターガイド方式を採用したことで,軌道をスリムに設計できるため,土木構造物を含めたインフラ建設費を大きく削減することができ,景観向上にも寄与する.加えて,架線やガイドの削減により,電気・軌道設備を点検・交換する作業も大幅に減り,保守コストも低減できる.
また,必要な電力のすべてを三菱重工 和田沖太陽光発電所の電力でまかなうなどして工場の二酸化炭素排出量を97.5%削減した「カーボンニュートラルトランジションハブ三原」(三原製作所/広島県三原市)で車両製造することやインフラの物量削減により,新交通システムの製造・建設時の二酸化炭素排出量を従来に比べ40%以上削減する.上記の製造・建設と省エネ運行,そしてメンテナンス・廃棄まで含めたライフサイクル全体で排出する二酸化炭素は,従来製品と比較して約6400トン削減することとなる.
画像:三菱重工業提供