
城端線・氷見線の沿線自治体とJR西日本・あいの風とやま鉄道で構成される「城端線・氷見線再構築会議」は,2025(令和7)年5月16日(金)に開催された第4回会議において,城端線・氷見線に導入する新形車両のデザインを発表した.

デザインは,新進気鋭のデザイナーとして,相模鉄道のデザインブランドアッププロジェクト(2019年グッドデザイン賞受賞)をはじめ,インダストリアルデザインだけでなく豊富な実績を有している鈴木啓太氏が担当する.
コンセプトは「KASANE」とし,城端線・氷見線沿線の自然・風土・文化,再構築事業そのものの丁寧な調査や理解にもとづいた綿密なストーリー検討により「伝統×未来,海×山,東西×南北,日常×観光」をデザインしている.
沿線4市の歴史と特徴,今後の展開・連携,事業主体となる,あいの風とやま鉄道といった城端線・氷見線の未来を,高い次元でシンボリックに表現している.

車両外観は,沿線の風景や自然に馴染み,海と山を結ぶ路線を表現しつつ,あいの風とやま鉄道とのつながりも感じるデザインとしている.また,デザイン的にも斬新で,飽きのこない洗練されたデザインとなっている.
前面デザインは,安全性と審美性を両立した立感あるものとし,ライトにLEDを使用することで,個性豊かな表現が可能となった.

内装は,明るい室内空間に天井,床に木目を活用して温かみを演出し,沿線の車窓から望める豊かな緑を基調とした座席とすることで,内と外との一体感を創出する機能性を備えたロングライフデザインを意識したデザインとなっている.また,今後は地場産業との協業による沿線の個性や多彩な富山の「技」をさりげなく演出する可能性も期待できるとしている.
また,城端線・氷見線の美しい風景と利用者をつなぐ機能を果たす役割として,窓の一部に丸窓を取り入れるなど,利用者が沿線の魅力や路線への愛着,ワクワク感を感じられるデザインとする.
城端線・氷見線については,2024(令和6)年2月に,改正地域交通法にもとづく「鉄道事業再構築実施計画」を国土交通省が認定しており,現在,第一種鉄道事業者としてJR西日本が経営する両路線について,計画開始からおおむね5年後を目途に,あいの風とやま鉄道への事業譲渡が予定されている.
事業譲渡前には今回発表のあった新形車両の導入や交通系ICカードへの対応,譲渡後の増便やパターンダイヤ化に向けた改良などを行なうほか,譲渡後には高岡駅において両線の直通運転に向けた駅改良なども行なわれる.
©城端線・氷見線再構築会議
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