自動運転を導入することで，安全性・輸送安定性の向上や，効率的な運転による省エネルギー効果などが期待できるとしている．また，ドライバレス運転の導入により，需要に応じた柔軟な列車運行が可能となるほか，乗務員がさまざまな業務に従事できるとしている．

▲新幹線自動運転の導入計画

　JR東日本の新幹線における自動運転の導入計画では，2028（令和10）年度に長岡—新潟新幹線車両センター間（60.8km）の営業列車と回送列車の自動運転（GOA2）と，2029（令和11）年度に新潟—新潟新幹線車両センター間（5.1km）の回送列車のドライバレス運転（GOA4）の導入を目指し，地上設備・車両改造などの工事に着手する．
　2030年代中ごろには，東京—長岡間に自動運転（GOA2）を導入したのち，東京—新潟間の営業列車のドライバレス運転（GOA3）と，回送列車のドライバレス運転（GOA4）導入を目指し，検討を深度化していく．また将来的には，北陸新幹線や東北新幹線においても，自動運転の導入を目指し検討を進める．

写真：JR東日本E956形「ALFA-X」　　目黒義浩撮影　　新幹線総合車両センターにて　　2019-5-10（取材協力：JR東日本）

　ドライバレス運転の導入に向けて，乗務員が担っている業務のシステム化を進めるため，自動でダイヤ通りに列車を運行するための装置や，異常を自動で検知する装置などさまざまな研究開発に取り組み，実用化を目指す．

▲開発した自動運転機能での運転パターン例

　ドライバレス運転に必要となる加速・減速・定位置停車のほか，臨時速度制限や臨時停車等にも対応し，自動でダイヤ通りの走行や効率的な省エネルギー運転を行なうため，最適な運転パターンで運行する装置の研究開発を進めている．2019（令和元）年度からE956形新幹線電車「ALFA-X」で走行試験を実施しており，自動運転（GOA2）導入にあわせて，2028（令和10）年度からの使用を目指す．

　また，新幹線のさらなる安全性向上のため，台車の異常を検知する既存のモニタリング装置を活用し，走行中の異常な振動を検知した場合に，乗務員に代わり自動で緊急停止させる機能の研究開発を進めている．この機能は，ドライバレス運転（GOA4）導入にあわせて，2029（令和11）年度からの使用を目指す．

一部画像はJR東日本提供