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JR東海,「N700S」17編成を追加導入へ

JR東海 N700S量産車

写真:JR東海N700S量産車  目黒義浩撮影  小田原—熱海間にて  2020-10-25

JR東海は,「N700S」17編成を追加導入すると発表した.2026(令和8)年度に4本,2027(令和9)年度に7本,2028(令和10)年度に6本を導入する.これによりJR東海の「N700S」は合計76編成となる.

JR東海,「N700S」17編成を追加導入へ

▲営業車検測機能の搭載(一部編成)

 今回投入される「N700S」では,安全性・安定性をさらに向上するとともに,異常時対応能力を強化し,環境負荷を低減する.
 一部編成に,かねてから技術開発を行なっていた地上設備の検測装置を搭載することで,新幹線電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」による検査を代替する.2027(令和9)年以降は「ドクターイエロー」による検査を取りやめ,営業車による検査に移行する.
 新たな検測機能として,電車線設備の画像を解析して設備の異常を検知する機能や,画像および点群データから軌道材料の状態を詳細に把握できる軌道材料モニタリング機能などを搭載する.
 これらの機器・機能により,営業車両で「ドクターイエロー」と同等以上のデータを高頻度で取得可能となり,設備の安全性・信頼性が向上する.あわせて,係員が現地で実施している検査業務の一部の代替が可能となり,電気設備・軌道設備に関する保守作業をさらに省力化する.

JR東海,「N700S」17編成を追加導入へ

▲飛来物検知機能の搭載

 パンタグラフを監視する装置には,画像解析機能を付加することで,パンタグラフへの飛来物付着などを検知し,運転士や指令所の係員に通知する機能を設ける.この機能により早期の異常検知が可能となり,重大事故の未然防止につなげる.

JR東海,「N700S」17編成を追加導入へ

▲車両データ伝送機能の強化

 これまで本線走行中に車両故障などが発生した場合,一部の車両データを指令所など関係箇所へリアルタイムで伝送していたが,伝送する車両データを増やし,より詳細に車両状態を把握できるようにする.これにより,運転再開の早期化を図る.

JR東海,「N700S」17編成を追加導入へ

▲バッテリによる空調稼働機能の追加

 「N700S」から導入したバッテリ自走システムを活用し,停電時において自然災害など外部要因により運転できない場合には,バッテリによって空調を稼働させる機能を新たに導入する.これにより,停電時の車内環境を改善する.
 なお,バッテリ消費を抑えるため,通常よりも能力を落とした空調運転・動作時間(数十分間)とし,バッテリ自走と空調稼働機能の併用はできないとしている.

JR東海,「N700S」17編成を追加導入へ

▲再生アルミ部材の適用範囲の拡大

 2023(令和5)年度の製造分からは,新幹線車両に使用されていたアルミ部材をリサイクルし,車体の一部(屋根部)に使用しているが,今回の製造分から再生アルミ部材の適用範囲を車体側面の一部にも拡大し,再生アルミ部材の適用範囲を従来の約1.6倍とする.これにより,リサイクルを進め,環境負荷を低減する.

JR東海,「N700S」17編成を追加導入へ

▲架線電圧を維持する機能の搭載

 これまで地上装置で実施してきた架線電圧を維持する機能を車両に搭載する.これにより,電力補償装置などの変電所機能の一部を削減することができ,東海道新幹線の全編成にこの機能の導入が完了した際には,CO2排出量を年間約1万トン削減できる見込みとしている.
 なお,既存の「N700S」については,今回投入する「N700S」に搭載される機能のうち,飛来物検知機能の追加,車両データ伝送機能の強化など,一部の機能を追加する改造工事を実施する.

JR東海,「N700S」17編成を追加導入へ

▲個室の導入

 このほか,グリーン車と3・6号車を除く号車に自動座席転回装置を搭載し,車内整備作業を省力化する.またグリーン車よりもさらに上質な設備・サービスを備えた個室については,今回投入する「N700S」に標準設置される.個室については,2026(令和8)年度以降,既存の「N700S」の一部編成にも順次導入する.

一部画像はJR東海ニュースリリースから

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