JR西日本は,京阪神都市圏の普通運賃・通勤定期運賃・通学定期運賃の上限変更について,国土交通大臣に認可を申請したと発表した.
京阪神都市圏の運賃体系は,国鉄から継承したまま消費税改定を除いて見直されておらず,かねてから都市圏域の拡大にともなう輸送サービスや利用状況と運賃水準との不一致が課題となっていた.会社発足後の輸送改善などによる利用状況の変化を踏まえ,京阪神都市圏内で同じレベルの輸送サービスを提供しているエリアで運賃体系を統合し,平準化を図る.これにより,シンプルで分かりやすい運賃体系とするとともに,さらなるバリアフリー整備などのサービス向上に取り組む.
申請では,現在の「大阪附近の電車特定区間」(電車特定区間)を見直し,新たに京阪神都市圏を適用エリアとする共通の運賃水準を設定する.なお,今回の改定で運賃が値上げとなる区間,値下げとなる区間があるが,JR西日本の運賃収入は全体としては増収とならない想定のもと設定している.
適用区間について,現行の電車特定区間は,大阪環状線・おおさか東線・桜島線・JR東西線・阪和線の全線全駅と,東海道本線(JR京都線・JR神戸線)の京都—神戸間,山陽本線(JR神戸線)の神戸—西明石間,関西本線(大和路線)の奈良—JR難波間,片町線の長尾—京橋間(路線図内の青色・水色の範囲内)となっているが,改定にあわせて東海道本線(琵琶湖線)の野洲—京都間,湖西線の山科—堅田間,山陰本線(嵯峨野線)の京都—亀岡間,奈良線の京都—城陽間,福知山線(JR宝塚線)の尼崎—新三田間,山陽本線の西明石—網干間,片町線の松井山手—長尾間,関西空港線の全線全駅(路線図内の赤色)を含めた範囲に拡大する.また,電車特定区間のうち「大阪環状線内」の区分を廃止する.
普通旅客運賃については,上記の適用区間において,現行の大阪環状線内,電車特定区間と幹線(拡大区間)に適用している運賃水準を統合し,大人片道普通旅客運賃に適用する賃率を,営業キロ1kmにつき15.50円に平準化する.
申請している営業キロ10kmまでの普通旅客運賃は,営業キロ1〜3kmで140円,同4〜6kmで170円,同7〜10kmで190円となる.鉄道駅バリアフリー料金は,電車特定区間内の駅相互間の運賃と一体として取り扱うこととし,普通旅客運賃では上記の運賃に10円(大人)が加算される.
改定時期は,2025(令和7)年4月1日(火)発売分からで,申請内容については,上限運賃として認可された後,その範囲内で届出により各種運賃を設定する予定.また,新たに電車特定区間に拡大する区間については,届出により鉄道駅バリアフリー料金を設定する予定となっている.
並行する鉄道事業者との競合区間などに設定されている,上限運賃より安価な特定の運賃については,基本的に変更しない.ただし,上限運賃の変更にともない運賃を特定する区間,新たに鉄道駅バリアフリー料金の収受対象となる区間など,一部変更となる区間があるとしている.
高校生などに対しては通学定期運賃(大学生など)を1割引,中学生などに対しては3割引,小学生などに対しては小児の通学定期運賃(通学定期運賃の半額)を3割引した運賃を適用する割引定期乗車券を設定する.
一部画像はJR西日本ニュースリリースから