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特集 東京近郊JRネットワーク
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東急,2024年度の設備投資計画を発表

東京急行電鉄 6020系「Q SEAT」

写真:東京急行電鉄6020系「Q SEAT」  編集部撮影  長津田検車区にて  2018-11-11(取材協力:東京急行電鉄)

東急電鉄は,2024(令和6)年度に約468億円の設備投資を行なうと発表した.

東急電鉄3000系

写真:東急電鉄3000系  編集部撮影  長津田検車区にて  2022-8-6(取材協力:東急電鉄)

 安全・安心な鉄道の追求として,老朽化の進む大井町線の9000系・9020系について,更新に向けた車両新造に着手する.大井町線で急行運転に使用している6020系車両をベースに,2024(令和6)年度は設計や機器・車両製作を進める.
 また,2024(令和6)年度から順次,目黒線所属車両をはじめ,導入から20年を超える車両を中心にリニューアルを実施し,安全性や快適性の維持・向上を図る.

東急,2024年度の設備投資計画を発表

▲駒沢大学駅 リニューアルイメージ

 田園都市線では,地下区間の5駅(池尻大橋駅・三軒茶屋駅・駒沢大学駅・桜新町駅・用賀駅)のリニューアルについて,引き続き工事を進める.
 第1弾となる駒沢大学駅リニューアル工事は,2024(令和6)年度夏ごろから順次竣工予定で,壁面タイルや床材などの既存材を最大限活かした計画とし,廃棄物削減に取り組むほか,空調設備改修では,コミッショニングの導入や,CBMの推進による効率的な運用を行なう.加えて,旅客トイレのリニューアル,西側へのエレベータ新設によりバリアフリーの一層の拡充を図る.

東急,2024年度の設備投資計画を発表

▲桜新町駅 リニューアルイメージ

 第2弾となる桜新町駅のリニューアル工事は,2026(令和8)年夏ごろに竣工予定で,「WITH THE CHERRYBLOSSOMS」をコンセプトに,人々の暮らしや商店街の活気に寄り添う桜並木のような空間デザインとする.駒沢大学駅に続き,壁面タイルなどの既存材を活用した計画に加え,空調機を大幅に増強・新設し,駅構内の快適性向上を目指す.
 このほか,踏切障害物検知装置の高度化や,駅ホームへの非常停止ボタン増設,降雨・浸水対策,耐震補強工事を実施する.

東急,2024年度の設備投資計画を発表

▲セミセルフ形窓口処理機のイメージ

 運営高度化と業界連携強化を目的に,駅オペレーションの効率化に向けた駅務機器のさらなる高度化や遠隔サポート体制の構築する.2024(令和6)年度は,遠隔対応が可能なセミセルフ形の窓口処理機の導入に向けた設計や開発を進める.
 駅停車時に列車をホームドア開口部にあわせた定位置に停止させるための「定位置停止装置(TASC)」について,田園都市線での導入に向け,車両の改造工事や地上装置の設置を進める.これにより,運転士の運転操作の負荷を軽減させるとともに,効率的なブレーキ制御などによる遅延抑制や安定的な運行の確保を目指す.

東急,2024年度の設備投資計画を発表

▲CBTCシステム概要

 列車の安全・安定運行を確保するため,無線通信技術を活用して列車の位置や速度を連続的に把握し,列車間の安全な間隔を確保する「CBTCシステム」について,引き続き機器の設計や製作を進める.「CBTCシステム」は,2028(令和10)年度に田園都市線,2031(令和13)年度に大井町線に導入する予定.
 なお,田園都市線と相互直通運転を実施する東京メトロ半蔵門線の信号保安システムについても,同一の「CBTCシステム」に更新する.2路線が共通化した「CBTCシステム」を導入することで,双方の路線で遅延回復効果が得られ,運行の安定性が向上するとともに,同一の車上装置で両線を運行することが可能となり,ライフサイクルコストの効率化を図る.
 マーケティングによる沿線活力の創出として,クレジットカードのタッチ決済・QRコードを活用した乗車サービスを拡大する.2024(令和6)年5月からは「タッチ決済に対応したクレジットカード等を使用した後払い乗車サービス」の実証実験を開始する.また「東急線アプリ」については,鉄道・バスの情報配信を引き続き強化することに加え,デジタルチケットサービス「Q SKIP」の購入機能の搭載などの機能向上を行なう.
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です.

東急,2024年度の設備投資計画を発表

▲旅客案内装置の更新イメージ

 鉄道ネットワークの価値最大化を目的に,ホームと車両床面の段差・隙間の縮小工事については引き続き,東横線や田園都市線など他路線を含めて順次実施する.さらに,転落防止を目的とした工事も順次実施する予定.池上線 五反田駅では,センサ付固定式ホーム柵からホームドアへ設備更新を実施する.供用開始は2024(令和6)年度末を予定している.
 旅客案内装置については,2026(令和8)年度から田園都市線・大井町線で液晶ディスプレイを採用した新たな旅客案内装置を設置する.
 都市計画決定された,大井町線戸越公園駅付近の連続立体交差事業については,都市計画事業の認可や工事着手に向けた具体的な調査や設計を進める.この事業で,大井町線では計6ヵ所の踏切が解消される予定.
 このほか,5G通信網の整備や,2024(令和6)年度末に池上線 五反田駅でホームドア設置と供用を開始する.

東急,2024年度の設備投資計画を発表

▲「木になるリニューアル」長原駅

 鉄道による環境・社会課題の解決を目的に,駅構内照明のLED化を白楽と尾山台の2駅で進める.田園都市線 南町田グランベリーパーク駅に駅舎補助電源装置を設置し,列車がブレーキをかける際に発生する余剰回生電力を駅の照明や空調などに有効活用する.また2025(令和7)年度に,大規模災害時のBCP強化や脱炭素社会への貢献を目指した大規模蓄電池を,田園都市線に電力を供給する市が尾変電所に大規模蓄電システム(出力:2.1MW,容量:10MWh)を関東大手民鉄で初めて設置する.
 木材を活用した駅改良プロジェクト「木になるリニューアル」では,戸越銀座駅,旗の台駅,長原駅に続く新たな駅での実施に向けて引き続き検討を深度化させる.

一部画像は東急電鉄ニュースリリースから

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