京浜急行電鉄は,2024(令和6)年度に鉄道事業において,総額約324億円の設備投資を行なうと発表した.
車両については,車体更新にあわせて,1000形16両(8両1本,4両2本)を対象に,ベビーカーや大形荷物を持った利用客向けにフリースペースを設置するほか,非常通報装置の増設や固定窓の一部開閉化などを行なう.
安全対策の強化として,引き続き,泉岳寺—新馬場間の連続立体交差事業を進める.この事業は東京都の都市計画事業として同区間を高架化し,3ヵ所の踏切道を除却するとともに,品川駅の地平化と2面4線化を図り,利便性および安全性の高い駅へと再編するもの.2024(令和6)年度は,品川駅付近の仮設化工事および八ツ山跨線々路橋の架設準備を含め,事業区間全域で工事を進める.
大師線連続立体交差事業においては,引き続き地上部整備工事や,小島新田駅の旅客用トイレ新設工事などを施工する.
近年の鉄道車内における傷害事件などの発生を受け,より安全な車内環境を提供するため,地上側でリアルタイムに映像が確認できる新たな防犯カメラを,2026(令和8)年度末までに全車両へ導入する.
踏切安全対策の強化では,自動車が通行する踏切道(64ヵ所)において,自動車の立ち往生を自動的に検知する踏切障害物検知装置を設置しているが,従来の方式よりも検知機能を強化した機器へ更新を進める.2024(令和6)年度は6ヵ所で実施する予定.
自然災害への対策として,高架橋(弘明寺—上大岡間)の耐震補強工事や浦賀駅構内,六浦—神武寺間ほかで法面防護工事などを引き続き進める.
ホームドアについて,2024(令和6)年度から2026(令和8)年度に設置が予定されているのは,青物横丁,大森海岸,大森町,雑色,六郷土手,八丁畷,生麦,弘明寺,屏風浦,杉田,金沢八景,横須賀中央,県立大学,糀谷,大鳥居,穴守稲荷,天空橋,京急川崎(3番線),港町,鈴木町,川崎大師,東門前,大師橋,小島新田,京急久里浜の計24駅.これらの駅以外についても,設置に向けた調査・設計などを行ない,引き続き各駅へのホームドア・ホーム固定柵の設置を進める.
駅改良工事では,神奈川新町駅の大規模改良工事(エレベータ・エスカレータ新設など),花月総持寺駅での駅舎耐震補強(トイレ新設・コンコースのリニューアルなどを含む)をそれぞれ実施する.
将来の成長に向けた投資として,将来の航空旅客の増加や羽田空港アクセスの輸送力増強のため,羽田空港第1・第2ターミナル駅において引上線新設工事を進める.
泉岳寺駅については,駅と品川駅北周辺地区が将来の駅周辺地域開発による交流人口の飛躍的な増加が見込まれているため,ホームの拡幅およびコンコースの拡張や昇降施設,出入口などの機能強化を行ない,駅の利便性,安全性の向上やバリアフリー化を図る.
アフターコロナの新たなニーズへの対応と将来の労働力不足を見据え,駅務機器の遠隔操作とカメラ付き通話対応が可能な「スマートサポートシステム」を引き続き15駅に導入する.さらに2024(令和6)年度から自動改札機などの駅務機器を更新し,クレジットタッチ決済を一部の駅に導入するほか,次世代媒体によるシステムを今後段階的に導入する.
また,駅の信号取り扱い業務の自動化を拡大し,さらなる保安度の向上と業務効率化を進める.このほか,車両や施設の保守部門においても業務の高度化に向け,ICT技術を活用したシステムの導入などを進める.
このほか環境負荷低減に向けた取組として,駅や車両照明設備のLED化や省エネルギー設備への更新,回生電力貯蔵装置の更新を行なう.
詳しくは,京浜急行電鉄ニュースリリースに掲載されている.
画像はいずれも京浜急行電鉄ニュースリリースから