東武鉄道は,2024(令和6)年度に鉄道事業において総額403億円の設備投資を行なうと発表した.
車両については,東武野田線(東武アーバンパークライン)に新形車両80000系を2025年春以降に順次導入するため,2024(令和6)年度に5両編成×5本(25両)を製作する.80000系は,「子育て世代に優しい車両」をコンセプトに,ベビーカー利用者が車内で快適に過ごせるよう「たのしーと」を設定する.また,熱損失が少なく高効率な新形モータと,電力を効率的に運用できる車上バッテリシステムを搭載することで,使用電力量を削減し環境負荷低減を実現する.
東上線で運行する9000系については,新形車両への代替更新を計画しており,2024(令和6)年度は車両の設計業務を実施する.
大師線における添乗員付き自動運転(GoA3)の導入に向け,引き続き前方障害物検知システムと地上センサの検証を行なうとともに,車両と自動運転システムと保安設備の設計検討業務を実施する.走行中の車両の乗車率や車内温度,走行パターンなどのデータを把握し分析する「Remote」については,新形車両80000系のほか,500系と50000系(伊勢崎線・東上線)への導入を拡大する.
列車に線路や電車線の状態を検測する装置やカメラを使用したモニタリング装置を搭載することで,施設の状態を管理できる「施設状態監視システム」については,引き続き検測・モニタリング装置の製作を進めるとともに,車両への搭載工事を実施する.AI活用による,検査計画や実績,補修,予備品を一元管理する「施設データ管理システム」については,引き続き導入に向けたシステムの構築工事を実施する.
駅設備の改良では,伊勢崎線(東武スカイツリーライン)の武里駅・久喜駅,日光線の新古河駅,野田線(東武アーバンパークライン)の江戸川台駅,東上線の武蔵嵐山駅で,駅舎のリニューアルを実施する.また野田線(東武アーバンパークライン)の初石駅については,流山市の支援のもと橋上駅舎化を進めているが,2024(令和6)年度は新駅舎整備工事を実施する.駅舎の橋上化にあわせて,バリアフリー化された東西自由通路を整備する.
ホーム柵(可動式・固定式)については,2035(令和17)年度までの「鉄道駅バリアフリー料金制度」の届出整備期間において「優先整備駅」を定めており,整備済みの駅を含め計85駅を整備する.
ホーム柵(可動式)については,伊勢崎線(東武スカイツリーライン)の小菅・梅島・草加(2・5番線)・蒲生・越谷(1・4番線)の各駅で整備が完了する予定で,伊勢崎線(東武スカイツリーライン)の西新井と,野田線(東武アーバンパークライン)の高柳・新鎌ケ谷,東上線の東武練馬・下赤塚・成増・ふじみ野・上福岡の各駅で工事に着手する.
また,ホーム柵(固定式)とホーム監視装置の設置については,野田線(東武アーバンパークライン)の豊春・江戸川台・増尾・逆井・六実・塚田の各駅で整備が完了する予定で,野田線(東武アーバンパークライン)の新船橋駅では工事に着手する.
ホーム柵(可動式・固定式)の整備対象外の駅についても,エレベータや発車案内表示器,列車接近表示器,バリアフリートイレの新設,洋式化を含む駅トイレリニューアル,内方線付き点状ブロックの設置,誘導用ブロックのJIS対応化,ホームと車両乗降口の段差・隙間の縮小などのバリアフリー化を対象の駅で実施する.
伊勢崎線(東武スカイツリーライン)のとうきょうスカイツリー駅付近の高架化については,引き続き下り線高架橋工事を行なう.春日部駅付近の高架化については,東武スカイツリーライン上り線の仮線切替え工事を実施するほか,下り仮線工事を進める.
東上線大山駅付近の高架化については,引き続き工事着手に向けた設計業務・準備工事などを進める.
野田線(東武アーバンパークライン)清水公園—梅郷間で進められている連続立体交差化工事については,2023(令和5)年度に野田市駅新駅舎の供用開始と2面4線化が完了した.2024(令和6)年度は事業完了に向け,高架下整備などを実施する.
このほか,高架橋・橋りょうの耐震補強など自然災害への備えの強化や,8000系・10000系・30000系・50000系・70000系への車内防犯カメラ設置(合計38編成),踏切の安全性向上,線路保守用車両の更新改良を進める.
電車がブレーキを使用した際に発生する回生電力をさらに有効活用するために,「電力回生インバータ装置」の導入を進める.2024(令和6)年は,板橋変電所,森林公園変電所での運用開始に向け工事を進める.
一部画像は東武鉄道のニュースリリースから