鉄道ファン2024年11月号(通巻763号)
『鉄道ファン』2024年11月号
2024年9月20日発売
定価1250円(税込)
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特集 国鉄特急形電車ストーリー
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JR北海道,2024年度事業計画を発表

JR北海道 H100形量産車

写真:JR北海道H100形量産車  加藤 勝撮影  苗穂運転所にて  2019-12-13(取材協力:JR北海道)

JR北海道は,2024(令和6)年度の事業計画を発表した.

 輸送施設の安全性の向上を目的に,老朽化した車両の置換えとしてH100形や733系の新製,車両故障対策として789系やキハ261系などの重要機器取替え工事を進める.線路設備については,橋枕木・分岐枕木の合成枕木化やロングレール化などによる軌道強化を引き続き進める.電気設備については,函館本線の運行管理システムを更新する.また,青函トンネルき電用特高ケーブルや函館本線の電車線支持物と室蘭本線の変電所などの設備更新,踏切の保安度向上対策を進める.列車の運休により日中の作業時間を確保する「線路集中メンテナンス日」を設定し,集中的かつ効率的な修繕を実施する.
 鉄道施設の整備に関する計画では,軌道強化や高架橋の耐震補強,車両の新製など安全基盤の強化を進める.近年の記録的な大雪の影響による雪害を踏まえた対策として,排雪モータカーロータリーの大形化・強馬力化を進める.  駅・車両のバリアフリー化については,登別駅へのエレベータ新設工事を進めるほか,発寒中央駅のエレベータ増設に向けた設計を実施する.
 鉄道オペレーションの変革として,業務のICT・AIなどによる省力化・省人化を進める.駅においては,オペレーターが遠隔サポートを行なう「話せる券売機」の設置を拡大する.列車運行の省力化・省人化を進めるため,ワンマン運転拡大に向けた検討を開始するほか,さらなる安全確保に向け,運転士を支援する「運転支援アプリ」の使用を開始する.また,線路閉鎖工事などの手続きのシステム化を検討する.
 工務・電気においては,車上撮影画像データを用いた線路総合巡視の導入を検討するほか,電気設備状態監視システムの導入を拡大する.コスト削減については,利用の少ない駅の見直しや,使用頻度の低い副本線や不要ホームなどの使用停止・廃止,自動改札機のIC専用改札への改造に取り組む.

JR北海道733系3000番代

写真:JR北海道733系3000番代  編集部撮影  札幌運転所にて  2014-6-16(取材協力:JR北海道)

 札幌圏輸送では,快速“エアポート”において,2024(令和6)年3月のダイヤ改正で実施した日中時間帯の毎時6本化と733系を増備することで,利便性向上と輸送力を拡大する.指定席「uシート」の販売席数拡大にともない,「えきねっと」を利用したチケットレス座席指定券の販売促進キャンペーンを展開し,購入の定着を図る.「北海道ボールパークFビレッジ」関連では,試合開催日の輸送力確保と試合展開にあわせた観客輸送を引き続き実施するほか,新駅設置に向けた工事を進める.
 都市間輸送については,一部特急列車の停車駅見直しによる速達化を検討する.需要変動にあわせた在来線イールドマネジメントシステムを活用するほか,道内企業・プロスポーツ・アニメなどの異業種との連携を強化する.また,2025(令和7)年度の運賃改定の実施を検討する.

JR北海道 キハ261系5000番代「ラベンダー編成」

写真:JR北海道 キハ261系5000番代「ラベンダー編成」  編集部撮影  苗穂運転所にて  2021-3-29(取材協力:JR北海道)

 観光需要の創出を図るため,北海道各地の沿線地域と連携した観光開発を継続する.観光列車では,JALとの連携による“HOKKAIDO LOVE! ひとめぐり号”,“花たび そうや”号,“富良野・美瑛ノロッコ”号,“SL冬の湿原号”などを運行する.
 東急グループと連携した「THE ROYAL EXPRESS」を引き続き運行するとともに,新たな観光列車の製作に着手する.このほか,航空会社や旅行会社と連携した商品造成の継続や,車両基地での撮影会などの集客力のあるイベントの企画・販売,国や北海道の支援を受けた「はまなす編成」や「ラベンダー編成」,H100形のラッピング車両を活用した周遊企画などを展開する.

JR北海道 H5系

写真:JR北海道H5系  編集部撮影  函館総合車両基地にて  2014-11-20(取材協力:JR北海道)

 北海道新幹線は,札幌駅部の工事として,新幹線駅舎工事,南北乗換こ線橋工事,新幹線高架橋増設工事,耐震補強工事を進める.札幌開業時の社員の教育・養成や在来線の輸送体系,業務運営体制などの検討も引き続き行なう.北海道と関係者が進める「北海道新幹線札幌延伸にともなう鉄道物流の在り方に関する有識者検討会議」への参画を含め,並行在来線の在り方に関する検討に協力する.
 高速化に向けた取組では,特定時期(ゴールデンウィーク,お盆,年末年始)に,青函共用走行区間時間帯区分方式による青函トンネル内最高時速260km走行を実施する.また,新函館北斗—札幌間での最高時速320km化の工事を鉄道・運輸機構と連携して進める.
 新青森—新函館北斗間では,青函共用走行区間において,JR貨物などの関係機関と協議により,必要な保守間合いを引き続き確保する.収益を確保するため,JR東日本と共同での「ツガルカイセン」プロモーションの継続実施や,同社と連携した北海道新幹線のイールドマネジメントを実施する.新幹線の定時性や速達性を活かした荷物輸送拡大に向けて,荷役体制の整備を検討するほか,関係者と連携した取扱い先の拡大を進める.

JR貨物EH800形

写真:JR貨物EH800形  株式会社東芝府中事業所にて  2012-11-27  編集部撮影(取材協力:JR貨物)

 経営自立に向けた取組では,北海道新幹線の札幌延伸の効果が発現する2031(令和13)年度の経営自立に向け,「JR北海道単独では維持困難な線区」,「青函トンネルの維持管理」,「貨物列車との共用走行」に関する課題に取り組む.
 「JR北海道単独では維持困難な線区」では,「鉄道よりもほかの手段が適しており,利便性・効率性の向上も期待できる線区」のうち,留萌本線(深川—石狩沼田間)は,2026(令和8)年3月末の鉄道事業廃止後の代替交通の確保について関係自治体と協議を進める.「利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区」については,監督命令にもとづき,効果が発揮できなかった利用促進の取組について内容を見直し,引き続き地域の関係者とともに実証事業として行なう.また,地域の関係者とともに線区ごとの特性に応じた取組により,基本指標となる収支・輸送密度・観光利用収入などの目標を設定する.
 「青函トンネルの維持管理」については,トンネルとトンネル固有施設に係る修繕などの業務(付随事業)の役割・責任分担について,今後も関係者と協議を継続する.
 「貨物列車との共用走行」の問題解決に向けては,引き続き,実施可能な方策について関係者と検討・協議を進める.
 詳しくは,JR北海道ニュースリリースに掲載されている.

写真はすべてイメージです.

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