東京地下鉄(東京メトロ)は,2024(令和6)年度の事業計画を発表した.
新線建設については,鉄道ネットワークの強化を通じた臨海部・都心部へのアクセス利便性向上や沿線・まちづくりへの寄与,東京圏の国際競争力の強化への貢献と新規鉄道需要の開拓を目的として,十分な公的支援を前提に,有楽町線延伸(豊洲—住吉間)と南北線延伸(品川—白金高輪間)の工事着手に向けた取組を進める.新形車両については,半蔵門線で導入を進める.
将来的な労働人口の減少を見据え,安全・安定輸送の確保を前提として,ワンマン運転の拡大に向けた検討を進める.また,南北線開業以来,改良を積み重ねてきた列車自動運転技術とワンマン運転の運行管理ノウハウ,2024(令和6)年度に丸ノ内線に導入する無線式列車制御システム(CBTC)の技術を活かし,係員が列車の先頭車両に乗務する自動運転(自動化レベル GOA2.5)の実現に向け,さらなる機能向上を図りながら,自動運転の取組を進める.
5Gを活用し,地下のトンネル内や地上の線路内などに設置された地上設備と列車間での5G通信を実現するための実証実験を開始し,将来の人手不足を見据えた鉄道運営の効率化や,鉄道用通信基盤の標準化を目指す.
輸送サービスの改善として,東西線では列車の遅延防止・混雑緩和のため,南砂町駅の線路切替をともなう大規模改良工事や,飯田橋—九段下間の折返し設備整備などを実施する.銀座線では列車の遅延防止のため,浅草駅構内の折返し線整備を進める.丸ノ内線・日比谷線・半蔵門線では,高い遅延回復効果を得ることができるCBTC(無線式列車制御)システム導入へ向けた取組を進め,丸ノ内線では運用を開始する.このほか,南北線で9000系の8両編成化を進める.
駅ホームの安全性向上のために進めているホームドア整備について,東西線と半蔵門線で設置工事を進める.また,身体の不自由な利用者に対する「声かけ・サポート」運動の実施や,駅社員によるスムーズな移動が難しい利用者への「見守る目の強化」,視覚障がい者ナビゲーションシステム「shikAI」,社員向け「お客様ご案内用アプリ」を活用する.
バリアフリー設備として,用地取得などによりエレベータの設置を進める.エレベータの設置により1ルート整備率100%実現に向けて取り組むことに加え,乗換ルートや複数ルートを整備する.車いす利用者などが円滑に乗降できるよう,日比谷線・東西線・有楽町線・半蔵門線・南北線・副都心線全駅でホームと車両床面との段差の低減・隙間の縮小を実施する.
安全性・安定性・利便性の向上として,構造物の日常検査・補修を継続する.また,千代田線の北千住—町屋間のシールドトンネル補強などの工事を実施する.駅冷房設備の更新や東京都交通局と連携し,東京の地下鉄のサービス一体化を進める.クレジットカードのタッチ決済やQRコードを活用した乗車サービスの実証実験を開始し,よりスムーズな鉄道サービスを提供する.「東京メトロmy!アプリ」などで全路線の号車ごとのリアルタイム混雑状況を配信し,分散乗車・混雑平準化を進める.
新たな外出機会の創出として,東京メトログループの保有する各種データを利活用することにより,マーケティング機能を強化するほか,東京の都市内観光「CityTourism」の一環として,沿線施設と「Tokyo Subway Ticket」のセット券発売を充実させる.また,ターゲットにあわせた企画乗車券を発売する.
ポイントを活用したお出かけ機会の創出として,利用状況に応じてポイントなどの特典を進呈する「ランク制度」や,「休日メトロ放題」を提供する.メトポとTo Me CARDのメトロポイントの統合により,ポイントサービスの魅力を向上させ,メトポ会員数や乗車回数の増加を図る.
地域の魅力掘り起しによる新たなお出かけ機会の創出として,SNS,フリーペーパーなどに加え,沿線地域をめぐるスタンプラリーなどを通じて,地域に根差した魅力の発信・共創を行なう.
鉄道各社などとの連携を強化して,相互直通運転先を含めた沿線の魅力発信を行なうほか,各種組織体との連携を強化し,沿線の地域活性化に取り組む.
詳しくは,東京メトロのページに掲載されている.
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