日立製作所は,「移動制約者ご案内業務支援サービス」を,JR東日本の山手線(事前介助受付機能は除く),南武線(川崎—立川間),京葉線(東京—蘇我間)と,東北・上越・北陸・山形・秋田新幹線で運用を開始したと発表した.
これは,口頭伝達や紙でのやり取りを主とする列車乗降サポート業務のプロセスを電子化し,利用受付から駅係員間の連絡・引継ぎ,乗降サポートの実績管理といった一連の連絡業務をスマートデバイス上で完結できるもの.
JR東日本では以前から,車いす利用などの移動制約者の乗降のサポートに注力し,山手線や南武線をはじめとする在来線で,アプリを使用した乗降連絡を行なってきたが,一部路線での運用にとどまっていた.これらの課題に対し,サービスでは,サポート業務に必要な機能が網羅されているだけでなく,事前介助受付機能も提供可能なことや,スケーラビリティに優れているAWS(Amazon Web Services)パブリッククラウドの活用により導入が容易で,対象路線の早期拡大が見込めることから導入に至った.
新たな機能として,列車の走行位置情報と連携することで,乗車駅のひとつ前の駅と降車駅のひとつ前の駅で,車いす案内情報を乗務員に知らせることができる.乗車駅,降車駅間での駅係員同士の連絡だけでなく,移動制約者の搭乗する車両を運転する乗務員にも情報を提供することで,乗務員は次の駅で移動制約者の乗降があることを事前に把握することが可能となった.
また,本サービスとJR東日本の指定券予約サービス「えきねっと」と連携した,事前介助受付機能を「JREおでかけサポート」として提供を開始している.駅係員によるホームまでの案内や列車の乗降補助を,利用者自らが事前に「えきねっと」の画面で切符を購入した後に,介助の申し込み画面へ進むことができるようになり,利便性が向上した.
駅係員による申込み分とあわせて,事前の介助の申込みの一元管理(一覧表示)により,必要人員の事前手配など当日の計画的な人員配置が可能となっている.
このほか,従来,サポートが必要な利用客が乗降する列車が遅延した場合,介助のタイミングを駅係員が判断していたが,列車の運行情報システムとの連携により対象列車の遅延情報を自動で取得することが可能となった.遅延時間を視覚的に分かりやすく表示することで,介助のタイミングを図りやすくした.
今後,JR東日本において,サービスの利用可能線区の拡大が予定されており,日立ではサービスの早期導入を支援するとともに,本サービスの機能拡張を図る.
一部画像は日立製作所提供