南海電気鉄道は,2023(令和5)年12月20日(水)開催の取締役会において,同社の完全子会社である泉北高速鉄道との経営統合に基本合意することを決議したと発表した.
南海電鉄は,2014(平成26)年7月に大阪府などから旧大阪府都市開発の株式譲渡を受けて,同社の名称を泉北高速鉄道と改めた.グループ化以降,速達性向上や運賃値下げをはじめとする鉄道の利便性向上策を通じた泉北ニュータウンなどの沿線活性化に加えて,物流施設の高度化や駅ナカビジネス拡充などの収益力向上にも取り組んできた.こうしたシナジーのさらなる発揮を目的に,2022(令和4)年4月に南海電鉄は泉北高速のすべての株式を取得し,完全子会社化した.
一方,沿線人口の減少やコロナ禍を通じた生活様式の変化などにより,鉄道事業の構造的な需要減は歯止めがかからない状況にあることや,将来にわたって事業を担う人財の確保が困難となることは確実視されている.こうした中で南海電鉄が策定した「2050年の企業像」の実現に向けて,鉄道事業と不動産賃貸事業という同種の事業を営む両社の経営を統合し,グループ経営の効率改善を通じてサステナブルな公共交通の経営の実現や,競争力のある流通センターの確立に向けて経営資源を投入していく事業体制を確立していくことが最善の方策であるとの判断に至った.
今回の経営統合について,南海電鉄を吸収合併存続会社,泉北高速を吸収合併消滅会社とする吸収合併方式を前提に検討することを定めた法的拘束力のない覚書を締結する.今後,2025(令和7)年度早期の経営統合に向けて検討を進め,両社の経営統合に関する最終合意の決議が完了次第,発表される.
また上記の目的に鑑み,堺・泉北エリアにおける「暮らす・働く・訪れる」価値を高め,交流人口・関係人口増加や子育て世代の流入促進の観点から,初乗り運賃の二度払い解消など,地域からのこれまでの声に応えることができるよう検討を進める.
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