鉄道ファン2024年6月号(通巻758号)
『鉄道ファン』2024年6月号
2024年4月19日発売
定価1250円(税込)
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鉄道ファン2024年6月号(通巻758号)
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小田急・東急・神戸市交・大阪モノレール・東京メトロ クレジットカードなどによるタッチ決済を順次拡大

箱根登山鉄道3000形「アレグラ(ALLEGRA)号」

写真:箱根登山鉄道3000形「アレグラ(ALLEGRA)号」  編集部撮影  入生田検車区にて  2014-4-14(取材協力:箱根登山鉄道)

三井住友カード・ジェーシービー・日本信号・QUADRACが展開するクレジットカードなどによるタッチ決済の導入(実証実験)について,鉄道事業者・グループ会社への順次導入が進んでいる.
 このサービスは,三井住友カードが提供する公共交通機関向けソリューション「stera transit(ステラ トランジット)」を活用し,タッチ決済対応のカード(クレジット,デビット,プリペイド)や同カードが設定されたスマートフォンなどで決済ができるもの.

 小田急電鉄と小田急箱根ホールディングスでは,上記の連名各社に小田原機器とオムロン ソーシアルソリューションズを加え,2023(令和5)年8月から,タッチ決済とQRコードを活用した電子チケット(QRチケット)読み取り機能が一体化した専用端末を小田急箱根グループの交通機関各駅に設置し,運用を開始した.
 箱根ロープウェイと箱根海賊船に導入されたタッチ決済では,往復利用することの多い訪日旅行者の傾向を捉え,タッチで1日乗り放題乗車(船)券として取り扱う.これにより,利用の都度精算するよりも安く利用できる.QRチケットは,箱根登山電車と箱根登山ケーブルカーにも導入し,箱根山内広域で利用できることから,便利かつスムーズな利用ができる.なお,ロープウェイに国際ブランドのタッチ決済を導入するのは,全国で初めての取組となる.

東京急行電鉄 2020系

写真:東京急行電鉄2020系  編集部撮影  長津田検車区にて  2018-2-24(取材協力:東京急行電鉄)

 東急電鉄では,沿線在住者や来街者に対して,よりスピード感をもって多様な乗車サービスを提供することを目的に,2023(令和5)年8月から田園都市線全駅を対象に,クレジットカードのタッチ機能やQRコードで乗車できる実証実験を行なっている.
 乗車券は,デジタルチケットサービス「Q SKIP」の販売サイト上でクレジットカードを使用して乗車前に購入する.入出場時は,「タッチ機能に対応したクレジットカード」または「スマートフォンなどに表示されるQRコード」を対象改札機の読取部にかざすことで,券売機や窓口を介さず利用できる.
 東急のDX特別組織「URBAN HACKS(アーバンハックス)」が構築する上記の販売サイトでは,実験開始日から田園都市線と世田谷線が1日乗り放題の「田園都市線・世田谷線 ワンデーパス」などの企画乗車券を販売している.同サイトは,東急グループの商業施設と連携した商品など,順次サービスを拡大し,簡単かつスムーズに多様な乗車サービスを提供するデジタルチケットサービス販売サイトを目指す.
 またこれまでの交通系ICカードを主軸としつつ,東急線沿線在住者だけでなく,インバウンドの回復による訪日外国人なども含め,タッチ決済に対応したクレジットカードを使用した,後払いの乗車サービスについても,2024(令和6)年春以降の実施に向け検討する.

神戸市交通局 6000形

写真:神戸市交通局6000形  編集部撮影  名谷車両基地にて  2019-2-8(取材協力:神戸市交通局)

 神戸市交通局では,今後,「世界パラ陸上競技選手権大会」や「大阪・関西万博」,「神戸空港の国際化」などによる国内外からの来街者増加を見据え,2024(令和6)年春から市営地下鉄全駅でタッチ決済による乗車を可能とする.これにより,現金の両替やICカード,乗車券の購入が不要となることから,国内外の観光客や,現金での切符購入者の利用が期待されている.将来的には,タッチ決済に対応したカードなどを活用して,地下鉄への乗車に加え,沿線地域の施設などが提供する買い物や食事などのサービスとの連携も検討する.

大阪高速鉄道 3000系

写真:大阪高速鉄道3000系  大阪モノレール車両基地にて  松本洋一撮影  2018-9-18(取材協力:大阪高速鉄道)

 大阪モノレールでは,2025(令和7)年の「大阪・関西万博」による国内外からの来訪者増加を見据えた環境整備の一環として,神戸市交通局と同じく2024(令和6)年春から,全駅でタッチ決済による乗車を可能とする.

東京メトロ1000系

写真:東京地下鉄1000系  目黒義浩撮影  中野車両基地にて  2011-10-5(取材協力:東京地下鉄)

 東京メトロは,企業や研究機関などと連携した新技術の開発・導入やDX化を進めるにあたり,持続的な企業価値の向上と将来にわたる安心の提供の実現を目指しており,その中で鉄道における「次世代乗車システムの促進」を検討している.鉄道利用において多くの利用がある交通系ICカードを主軸としつつ,新たな乗車サービスを検証することを目的に,各種クレジットカードのタッチ決済およびQRコードを活用した乗車サービスに関する実証実験を開始する.
 本実験は2024(令和6)年度中に東京メトロの路線を対象に行なう.実証実験をとおして,ライフスタイルの変化による多様なニーズに対応し,日ごろから東京メトロの利用者や東京を訪れる国内外の利用客にとって,クレジットカードやスマートフォンなどで地下鉄に乗車できる,多様な乗車サービスの提供を目指す.

※写真はすべてイメージです.

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