日立製作所のグループ会社である日立レール社は,ハワイ州ホノルルで,同国初の完全自動運転都市鉄道システム「スカイライン」の第1期区間が完成し,旅客サービスを開始したと発表した.
この路線は,ホノルル高速鉄道輸送機構(HART:Honolulu Authority for Rapid Transportation)とホノルル交通局(DTS:City and County of Honolulu Department of Transportation Services)が運用するもので,米国で運行を開始する主要な都市鉄道システムとしては1993(平成5)年以来となる.
このプロジェクトの第1期区間は高架鉄道で,イースト・カポレイ—アロハ・スタジアム間の9駅・約17.7km(11マイル)を結ぶ.今後数年間にさらに二段階に分けて建設が進められ,ダニエル・K・イノウエ国際空港など,さらに先の駅へ旅客サービスが提供される予定.
路線は電化されており,化石燃料による自家用車から持続可能な交通機関に移行することで,二酸化炭素排出量削減や島内の渋滞緩和を図る.現在,オアフ島の東西の交通路線は渋滞が問題となっており,移動にも時間がかかることから,「スカイライン」が,ハワイ経済にとって重要な経済的利益をもたらすことも期待されている.路線の全区間が完成すると,市内の混雑した通りや高速道路における1日あたり推定4万台の自家用車の移動(高速道路8車線分に相当)が鉄道に移行すると試算されている.
本プロジェクトにおける日立レールの役割は,車両の設計・製造,鉄道システムの設計・製造(信号・制御システム,ホームドアなど),試験・安全認証,システムの運用・保守が含まれる.
車両1編成(4両)あたりの定員は約800名で,計20編成が運行される.列車の全長は約79m(260フィート)で,乗客がより有効に車内のスペースを利用できるように,車両間の貫通路は開放的なつくりになっている.車内は冷暖房完備で,無料Wi-Fiの提供や,自転車やベビーカー,荷物を置くためのスペースが設置されている.また,米国障害者法(ADA)に完全に準拠しており,車椅子専用のスペースも設置されている.
2023(令和5)年6月30日(金)(現地時間)には,アロハ・スタジアム駅で開業式が行なわれ,Brian Schatz米国上院議員,Josh Greenハワイ州知事,Rick Blangiardiホノルル市長,DTSのRoger Mortonダイレクター,日立の執行役副社長(グリーンエナジー&モビリティ戦路企画本部長)であるAlistair Dormer氏らがスピーチを行なった.関係者はその後一番列車に乗車し,開業した9駅を巡った.
写真はいずれも日立製作所提供