南海電気鉄道と京三製作所は,「係員付き自動運転(GoA2.5)実現」に向けて,和歌山港線(和歌山市—和歌山港/2.8km)での自動運転走行試験を2023(令和5)年8月ごろから開始すると発表した.
試験は,自動運転システムの安全性・安定性,自動運転時に係員が行なう作業における課題抽出を目的に,8300系2両編成を走行試験車両として使用し,運転士が乗務した状態で,昼夜ともに試験を行なう.なお,一般の利用者がいる列車では,走行試験は行なわない.
試験での確認項目は,南海が使用している自動列車停止装置(ATS-PN)と,京三製作所と共同開発した高機能形の自動列車運転装置(高機能ATO)を組み合わせた自動運転システムの安全性,運転士が運転する際と同等の目標速度への加速・減速,停止精度などとしている.
試験結果を踏まえ,有識者で構成する「GoA2.5自動運転検討委員会」で安全性評価を得た後に,導入を目標とする線区(高師浜線,和歌山港線)での自動運転実現に向けて検討していく予定.
両社では試験に向けた取組として,地上設備などの測量を実施しデータ作成を行なってきた.これは,車両に搭載する高機能ATOに,地上情報(信号機設置位置・勾配・停止位置など)を記憶させておく必要があるためとしている.
また各種設備の整備として,現在,運転士が確認,判断している情報(信号機の現示や走行経路情報など)を,車両内の自動列車運転装置に送信する機能を付加した自動列車停止装置(ATS-PN)を地上に新設したほか,車両側に高機能ATOや乗務員用の操作表示部を設置している.
係員付き自動運転(GoA2.5)は,運転士以外の係員が先頭車両に乗車する自動運転で,既存設備を活用して導入することが可能となっている.そのため,安全性を確保したうえで投資コストを抑制し,費用対効果を高めることができることから,「GoA2.5」の実現を目指す.また省エネ運転による「CO2排出量削減」も目指して,走行試験を進める.
画像はいずれも南海電気鉄道・京三製作所 共同ニュースリリースから