JR東日本は,2023(令和5)年度から順次,新幹線専用の「レールモニタリング車」と「線路設備モニタリング車」を導入すると発表した.
同社では,ICTなどの先端技術を活用した「スマートメンテナンス」を実現することで,安全・安定輸送のさらなるレベルアップや将来の労働人口の減少を見据えた仕事の仕組みづくりを進めており,新幹線の線路点検などにおける安全性,品質,生産性向上を目的とした線路のモニタリング技術の開発が完了したことから,上記2種類の専用保守用車を導入する.
新幹線の安全安定輸送には,線路の健全性を確認するため,技術者の目視による線路点検や検査が必要不可欠で,これを装置によるモニタリングに置き換えることで,線路点検などの安全性,品質,生産性向上を図ると同時に社員の働き方改革を進める.
「レールモニタリング車」は,従来の約2倍の測定速度でレール状態を総合的にモニタリングすることが可能で,レール状態の測定速度としては国内最速となる.超音波によるレール内部の傷の発見やレール表面の凹凸や摩耗などのレール状態を総合的に把握することができる.
「線路設備モニタリング車」は,線路設備の状態についてモニタリングすることを目的とし,線路設備の種類に応じて3種類の装置を搭載し,線路点検や検査に活用する.新幹線全体の線路点検や検査にモニタリングデータを活用する仕組みの実用化は国内で初めてとなる.
新幹線における「スマートメンテナンス」は,高精度なデータ測定とデータ処理により,これまで技術者が実施してきた線路点検や検査,工事調査をスマート化(DX化)し,業務全体の生産性向上を図ることで,より効果的に線路の修繕を行なう.具体的には,技術者の目視による線路点検を約50%削減するとともに,検査を高頻度(最大12倍)に実施する.
このビッグデータを分析することで,劣化予測の精度向上が可能となり,設備状態に応じて最適な時期に補修を行なうメンテナンス手法であるCBM(Condition Based Maintenance)を実現する.データ測定とデータ処理は,JR東日本グループである日本線路技術が担当する.
画像はいずれもJR東日本ニュースリリースから