日立製作所のグループ会社である日立レールは,フィリピン政府運輸省から,ソリス—マロロス間の新しい通勤鉄道向けに,デジタル信号を含む鉄道システムの提供と軌道工事に関する契約パッケージ(CP04)を受注したと発表した.契約金額は約1140億円となる.
プロジェクトでは,マニラ首都圏と近接する地域を南北に結ぶ南北通勤鉄道(カランバ—クラーク間)147kmのうち,約35.4km・9駅の区間を新設するもので,独立行政法人国際協力機構(JICA)の円借款の資金が使用される.このプロジェクトにより,フィリピンでの急速な持続可能性推進の流れの中で,温室効果ガス排出を削減し,自動車に比べて環境に優しい公共交通の利用促進を図る.
南北通勤鉄道には,革新的な欧州列車制御システム(ETCS)レベル2を導入する.ETCSの信号システムは,列車の動きと制限速度を監視するとともに,列車の効率的な運転を可能にしてエネルギー消費を削減できる.ETCSレベル2の信号システムは,緊急時または制限速度を上回った場合に適用される緊急ブレーキなどを自動的に作動させることで,安全性を大幅に高めることができる.
画像:日立製作所提供
※契約金額は,2022(令和4)年11月16日(水)の為替レート(1フィリピンペソ=2.43円、1ユーロ=145.08円、1米ドル=139.80円)で計算