西武鉄道は,2021(令和3)年12月から実施導入試験を行なっていた新たな踏切異常検知システム「踏切滞留AI監視システム」・「3D画像解析踏切監視システム」について,2022(令和4)年11月14日(月)から3踏切で本運用を開始すると発表した.
これまで,おもに人や自転車が通行する小規模な踏切である「人道踏切」内に人が取り残された場合,居合わせた人による非常ボタン押下が,列車に異常を知らせる確実かつ唯一の方法であったが,今回運用を開始するシステムは,人の検知性能に優れており,踏切内の異常を検知した場合,異常検知システムと特殊信号発光機との連動により,当該踏切に接近する列車へ停止信号を現示する.
「踏切滞留AI監視システム」は,沖電気工業と丸紅ネットワークソリューションズの共同開発によるもので,踏切内の人を踏切監視カメラ映像からAI処理し,物体の形状を認識する.自動車などの物体の滞留を検知する「物体検知」と人の移動・滞留を検知する「骨格検知」の複数のAIアルゴリズムにより,高い精度で迅速に踏切道の自動車などや人の検知を行なう.
また,踏切監視カメラに低照度カメラを採用することで,夜間も鮮明な画像解析ができる.
「踏切滞留AI監視システム」は,池袋線の「池袋第9号踏切」と「所沢第3号踏切」に設置され,2022(令和4)年度中に同じく池袋線の「椎名町第7号踏切」にも設置される予定.
「3D画像解析踏切監視システム」は,コンピュータシステム研究所が開発したもので,3Dカメラを使用した高精度3D画像解析システムで踏切内に取り残された人を検知する.左右2つのレンズを内蔵した3Dカメラによる画像解析で,左右カメラの視差により人の目と同じように距離・高さ,ボリュームを認識することで,高精度な検知が可能となる.
また,体積のなど光や影を検知しないため,自然環境下に左右されない安定したパフォーマンスが期待されている.
「3D画像解析踏切監視システム」は,新宿線の「井荻第2号踏切」に設置され,2022(令和4)年度中に同じく新宿線の「鷺ノ宮第2号踏切」にも設置される予定.
一部画像は西武鉄道・沖電気工業・丸紅ネットワークソリューションズ・コンピュータシステム研究所提供