富山県は,立山黒部アルペンルートと日本有数のV字形の谷「黒部峡谷」を結ぶ「通称:黒部ルート」の名称(旅行商品名)を「黒部宇奈月キャニオンルート」に決定したと発表した.
名称については,2021(令和3)年9月から10月までの約2ヵ月間,一般公募を行ない,7049件の応募の中から関係自治体・事業者,有識者などで構成された名称選定委員会による選考で決定した.
「黒部宇奈月キャニオンルート」は,黒部峡谷鉄道の終点である欅平と黒部ダムを結ぶ約18kmのルートで,トロッコやインクラインを乗り継ぎ,電源開発の歴史などを体感できる.2018(平成30)年に富山県と関西電力との間で締結された協定により,安全対策工事完了後,2024(令和6)年度から一般開放される予定.これにより,日本有数のV字峡である「黒部峡谷」と世界的な山岳景観を誇る「立山黒部アルペンルート」を結ぶ新たな観光ルートが形成される.
蓄電池機関車で通過する「高熱隧道」は,掘削時,岩盤の温度が160°Cを超え,ダイナマイトの自然発火などがあり工事は難航した.現在も約40°Cあり,列車内でも硫黄臭や熱気を感じることができる.
インクラインは,黒四発電所の建設に必要な資材や機材を輸送するため,1959(昭和34)年に建設され,長さ815m,斜度34°の急傾斜を20分かけて昇降する.急傾斜の長大な斜坑を掘削するという点で世界にも例のないものとなっている.
剱岳を富山平野とは反対の方向から眺める姿は「裏剱」と呼ばれており,荒々しい稜線が織りなす裏剱や仙人谷など,長く険しい道を辿った登山者など限られた人しか目にすることのできない黒部奥山の絶景を満喫できる.
今後は,重点地域を設定し,PRを強化するともに,旅行商品の造成に向けて準備を進めるとしている.
画像・写真はいずれも富山県首都圏本部提供