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特集 新幹線最前線2025
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2022年ブルーリボン賞・ローレル賞決定

京浜急行電鉄 1000形1890番台

写真:京浜急行電鉄 1000形1890番台  編集部撮影  久里浜工場にて  2021-4-24(取材協力:京浜急行電鉄)

鉄道友の会は,京浜急行電鉄1000形1890番台を2022年のブルーリボン賞に,東京地下鉄(東京メトロ)17000系・18000系と京阪電気鉄道3000系3850形(プレミアムカー)を2022年のローレル賞に選定したと発表した.

 京浜急行電鉄1000形1890番台は,2001(平成13)年から導入されている新1000形の20次車として投入された車両で,ロングシートとクロスシートに転換できる腰掛や車内トイレ設備など,京浜急行電鉄で初めてとなる設備が導入されている.通勤・通学のみならず観光・イベントなど,新たな車両用途を模索しているほか,最新水準の機器類を積極採用しつつ実績ある安定した仕様も踏襲している.
 チャレンジングな姿勢と堅実性を兼ねそろえたトータルバランスに優れた車両であり,多くの会員の支持を集めた.

東京メトロ17000系

写真:東京地下鉄17000系  編集部撮影  新木場車両基地にて  2020-8-11(取材協力:東京地下鉄)

東京メトロ18000系

写真:東京地下鉄18000系  編集部撮影  鷺沼車両管理所にて  2021-6-2(取材協力:東京地下鉄)

 東京メトロ17000系は有楽町線・副都心線用として2021(令和3)年2月に,18000系は半蔵門線用として同年8月にそれぞれ既存車両の後継として導入された.車体構造や搭載機器には共通点が多く,座席幅の拡大や全車両へのフリースペースの設置,ホームと車両の間の段差低減など,客室設備・バリアフリー設備のレベルアップが行なわれている.さらに,消費電力量を削減した機器を採用し,安全・安定輸送の取り組みとして脱線検知装置の導入や,TIMA(車両情報監視・分析システム)の導入による搭載機器の遠隔監視などが行なわれています.
 両形式とも得票数が多く,サービス設備や搭載機器のレベルアップを積み重ねた点や,基本仕様やメンテナンスの共通化を図りつつも,投入線区の独自性との両面を実現した点が高く評価された.

京阪3000系

写真:京阪電気鉄道3000系  編集部撮影  寝屋川車両基地にて  2021-1-20(取材協力:京阪電気鉄道)

 京阪電気鉄道3000系3850形は,2017(平成29)年に導入された8000系8550形「プレミアムカー」に続くもので,サービスをさらに拡充させている.
 伝統の転換クロスシートを昇華させた回転式リクライニングシートは2列+1列の3列配置で,1040mm間隔となっている.各座席のフィット感を向上させ,京都寄り車端部4席の背もたれには着席者により操作可能なヒータも付き,居住性が8550形からさらに進化している.また,側窓のLCD式出入口部表示器は複層ガラスの層間に液晶ディスプレイを内蔵しており,鉄道車両の窓用ガラス(車外向け)として世界で初めて採用している.

3850形外観(京阪電気鉄道提供)

▲3850形外観(京阪電気鉄道提供)

 転換クロスシートを備え,時代に呼応した幾多の細やかなサービスを提供してきた京阪特急の系譜を引き継ぎ,風雅な趣のある3850形「プレミアムカー」では,通勤・観光のあらゆるシーンにおいて心地よい移動空間を楽しむことができることから,その完成度の高さが評価された.

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