近畿日本鉄道は,2024(令和6)年秋(予定)に新形一般車両を導入すると発表した.
投入線区は,奈良線,京都線,橿原線,天理線で,4両編成10本(計40両)を導入し,投資額は約84億円(1両あたり約1.85億円)となる(設計費など除く).一般車両の導入は,2000(平成12)年の「シリーズ21」以来24年ぶりで,他線区への展開も予定されている.
「ご利用いただくあらゆる方々に使いやすく,お客さまと地球環境に優しい車両」をコンセプトに,外観デザインは,近鉄伝統の赤色をより鮮やかにすることで新しいイメージを創出する.車内デザインは,花柄の座席表布や木目調の壁を使用し,明るく優しい印象とする.
車内の快適性向上として,利用状況に応じてロングシートとクロスシートを切り換えることができる「L/Cシート」を採用する.ベビーカーや大形荷物などを持った乗客が気兼ねなく着席できるスペースを1両あたり2ヵ所設置する.また,車内空気の除菌を行なう装置を導入し,座席などに抗菌・抗ウイルス機能を追加する.
車内防犯対策として,乗務員や運転指令者が車内を確認できる防犯カメラや,乗務員と通話ができる車内通報装置を設置する.バリアフリー対応では,転落防止幌を編成先頭部にも設置し,車両床面の高さを下げることで駅ホームとの段差を低減する.車内には次駅案内・列車運行情報などを表示する大形の液晶ディスプレイや,車両の両端に優先座席を設置する(うち1ヵ所は車いすスペースを併設).
省エネルギー対応として,新形のインバータ制御装置やLED照明を採用し,消費電力を従来車両比で約45%削減する.
このほか,戸閉力を制御することで,閉まる扉に荷物が挟まった場合に抜き取りやすくする.また乗客が個別に扉を開閉できるスイッチを設置し,酷暑時や厳冬期の車内保温を図る.効率的に車両の保守を行なうため,省メンテナンス性を考慮した各種機器を採用する.
画像はいずれも近畿日本鉄道ニュースリリースから