JR西日本では,整備に多くの時間や費用を要するホーム柵を補完する有効な対策として,転落発生後に列車との接触を未然に防止する「ホーム安全スクリーン(正式名称:転落時列車抑止システム)」の開発を進めて,実用化に向けた現地検証を2021(令和3)年1月から大阪環状線 福島駅で開始している.
これは,ホーム上の屋根に設置されたセンサで物体を検知し,JR西日本が独自に開発したアルゴリズムにより,利用客の転落を判定する.転落を判定した場合,非常報知灯を自動的に作動させ,運転士に危険を知らせるとともに,駅事務室の係員にもホームでの異常を通報する.このようにセンサにより,人の転落を高い精度で自動的に検知・判定し,自動的に非常報知灯を作動させるシステムは,国内で初めてとなる.
福島駅での現地検証は,2022(令和4)年6月まで行なう予定で,2021(令和3)年1月から2022(令和4)年4月現在まで,転落の確実な検知と誤判定の発生有無について,2022(令和4)年1月から4月現在まで,非常報知灯との連動と駅係員・乗務員などのオペレーション確認について,それぞれ検証を実施している.これまで進めてきた検証では,実際の人の転落・立入りは100%検知・判定できており,一方で,鳥の群れや雨,傘などを,人として検知・誤判定した例はほぼないとしている.
今後は,2022(令和4)年度中に複数駅への設置を計画し,2023(令和5)年度以降,さらに整備対象駅を拡大する予定.
特記以外の画像はJR西日本提供