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住友商事・総合車両製作所,フィリピン南北通勤鉄道の延伸事業向け鉄道車両304両を受注

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住友商事・総合車両製作所,フィリピン南北通勤鉄道の延伸事業向け鉄道車両304両を受注

▲車両完成イメージ

住友商事と総合車両製作所(J-TREC)は,フィリピン共和国運輸省(DOTr)から,マニラ首都圏と周辺都市を南北に結ぶ南北通勤鉄道の延伸事業向け鉄道車両納入プロジェクトを受注し,契約を締結したと発表した.契約車両数は304両で,契約金額は約725億円となる.

 急速な経済成長と人口増加が続くマニラ首都圏では,人口集中による交通渋滞や大気汚染が年々深刻化しており,大量人員輸送が可能でエネルギー効率が高い鉄道輸送が注目されている.フィリピン共和国政府は「Build Build Build(ビルド・ビルド・ビルド)」と称する大規模なインフラ整備計画を進めており,南北通勤鉄道事業は中核事業として位置づけられている.

住友商事・総合車両製作所,フィリピン南北通勤鉄道の延伸事業向け鉄道車両304両を受注

▲路線図

 建設が進むフェーズ1のブラカン州マロロス—マニラ市ツツバン区間(約40km)に加え,北方はパンパンガ州クラーク(クラーク国際空港)からマロロス,南方はツツバンからラグナ州カランバの延伸区間(総計約110km)が完工すると全線約150kmの路線となる.マニラ首都圏の交通ネットワークを拡充し,自動車から鉄道へ輸送をシフトすることで,交通渋滞と大気汚染の大幅な改善が期待されている.
 本プロジェクトは,独立行政法人国際協力機構とフィリピン共和国政府との有償資金協力にもとづき計画された日本の政府開発援助事業で,クラークからカランバまでの全線を走る鉄道車両304両(8両×38編成)を設計・製造し,2028(令和10)年ごろまでにDOTrへの全車両の引き渡しを予定している.住友商事とJ-TRECは,2019(令和元)年7月に南北通勤鉄道フェーズ1向け鉄道車両納入プロジェクトを,2020(令和2)年12月にマニラ地下鉄向け鉄道車両納入プロジェクトをそれぞれ受注している.
 住友商事は,これまでにアジア,北米を中心に多くの鉄道建設,車両輸出を手がけており,とくにマニラ首都圏では,複数の既存路線(LRT1号線・2号線,MRT3号線)で受注・履行実績があるほか,LRT1号線の運営やMRT3号線のリハビリ・メンテナンスにも参画している.交通輸送インフラ事業での豊富な経験を生かし,本プロジェクトの着実かつスムーズな推進を図りながら,引き続き,フィリピン共和国の持続的成長や脱炭素社会を実現する.
 J-TRECは,近年,次世代ステンレス車両「sustina」を積極展開し,地域インフラの発展に寄与しており,東南アジアでは,2016(平成28)年にタイ王国のバンコク都市鉄道パープルライン向け車両を納入している.本プロジェクトにおいても「sustina」を提供し,マニラ首都圏の交通インフラ発展に貢献するとしている.

画像はいずれも住友商事提供

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