広島電鉄・日本電気(NEC)・レシップの3社は,スマートフォンに表示させたQRコードや新たな交通系ICカードを認証媒体とするABT(Account Based Ticketing)方式の新乗車券システムの開発に着手すると発表した.定期券への対応や複雑な割引制度に対応したABT方式による乗車券システムの商用化の発表は日本で初めてとなる.
ABT方式は,認証媒体となるQRコードやICカードの固有のID番号と紐づいた利用者の情報をクラウドサーバ側で管理する方式である.ABT方式の新乗車券システムでは,チャージ残高や定期券などの利用者の情報をクラウドサーバ側で保持・参照・更新し,機器側では高速な計算処理を行なわないため,システム全体の低廉化を図ることができる.また,新乗車券システムではQRコードやICカードに加え今後多様な認証媒体にも対応することが可能になるため,ほかの交通手段や街中・旅先などでのさまざまなサービスとの連携も期待できるとしている.
新乗車券システムでは,利用者自身のスマートフォンやパソコンから会員登録を行なうことでサービスを利用できる.会員登録時には,クレジットカードまたは銀行口座の登録が必要となる.これにより,利用客は窓口へ来訪することなく,自身のスマートフォンやパソコンからチャージに加え,定期券の購入,利用履歴の閲覧も可能となる.
路面電車・バスを利用する場合は,乗車・降車時に,自身のスマートフォンに表示させたQRコードを車載機へかざして決済する.スマートフォンがない利用客は,乗車・降車時に,専用の新たな交通系ICカードを車載機にタッチすることでサービスを利用できる.現在,交通系ICカード「PASPY」において導入されている各種割引サービス(定率割引や乗継割引,共通定期券制度など)は,新乗車券システムにおいても実装される予定.
各社の役割については,広島電鉄が運賃収受やシステム運営に関するノウハウを提供し,NECが新乗車券システムの開発,レシップが車載機の開発をそれぞれ行なう.
新乗車券システムは,2024(令和6)年10月のサービス開始を目途として開発を行なっており,サービス内容の詳細は,決まり次第発表される.
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※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です.