三菱電機は,米国ニューヨーク州都市交通局(Metropolitan Transportation Authority:NY-MTA)からニューヨーク地下鉄(New York City Transit:NYCT)クイーンズ・ブールバード線東側区域(Queens Boulevard Line “East”:QBL-E)プロジェクト向けCBTC(無線式列車制御システム:Communications Based Train Control)地上装置を受注したと発表した.三菱電機においては,海外向けCBTCの初受注案件で,NY-MTAにおいては欧州企業以外への初めての発注案件となる.
QBL-Eプロジェクトは,ニューヨーク市内を走るクイーンズ・ブールバード線のユニオンターンパイク—ジャマイカ-179丁目間に設置されている既存の固定閉塞式信号システムを,CBTCによる移動閉塞式の新信号システムに置き換えるもの.新信号システムでは,より高密度での車両運行が可能となり,乗客の利便性がさらに向上することが期待されている.
各路線のCBTC化を計画しているNY-MTAでは,CBTC調達にあたり独自仕様を満たす製品の製造が可能と認証を受けたサプライヤにのみ入札資格を与えており,これまで2社によるシステム導入を進めてきた.三菱電機は,2015(平成27)年に始まった認証プログラムを経て,2020(令和2)年に3社目のサプライヤ認証を取得し,同認証プログラムでの実績が評価され今回の受注に至った.
受注額は,約62.7百万ドル(約69億円)で,CBTCシステムの稼働開始時期は,2026(令和8)年を予定している.
三菱電機では,今後もNYCT向けを始めとする北米市場の事業拡大に加えて,CBTCの需要拡大が見込まれるアジア市場を中心に鉄道向け信号システム事業のグローバル展開を進めるとしている.
写真上:クイーンズ・ブールバード線
写真下:CBTC地上装置
写真はいずれも三菱電機提供