平成筑豊鉄道は,西日本工業大学,赤村の協力のもと,田川線 油須原駅の復元改装を実施したと発表した.
外観については,旧国鉄時代の資料がすでに散逸しており,完全な復元ではないが,開業当時の雰囲気をイメージして,木質の建具やレトロ調の灯具に交換している.内部には制震装置を備えるなど,最新の機能を追加し,今後の地域交流拠点として観光など鉄道および地域活性化につなげる.
デザイン監修は,これまで田川線の東犀川三四郎駅,美夜古泉駅の待合室のリニューアルを手がけた西日本工業大学デザイン学部・石垣 充教授が担当した.
外装・内装については,傷んでいた下見板張りや漆喰壁を補修し,塞がれていた扉・窓を復元するとともに,駅舎正面のシャッタ開口部を塞いだ.アルミサッシであった窓は,桟の入った木製のものに,アルミ製の引き戸についても木製の建具に交換した.照明もレトロ調のものに交換し,夜間はムードのある空間を演出する.
また,タブレット閉そく取扱いなど,かつての駅員の仕事が体験できる「鉄道作業体験室」を設置し,イベント時は,展示されている昔の鉄道資料を公開する.
改装前にギャラリーであった場所は,赤村をはじめとした地域住民と西日本工業大学との活動拠点となる「協働研究室」を設置した.壁面にはオイルダンパを用いた制震装置(江戸川木材工業「ビルアンド」)を設置し,駅の復元設計や施工を行なう際の作業室としてのほか,赤村の豊かな自然環境を活かした再生エネルギー(小水力発電など)の研究に取り組む予定.
駅舎に入って左側は,赤村や平成筑豊鉄道のイベント情報やポスターなどを展示する新たなギャラリーとして整備した.協働活動の成果や地域情報,写真展などの展示を行なう公開空間としても活用する.このほかホームには,木製の鳥居形駅名標が復刻されている.
今後は,今回の復元改装で見送られた出札口(きっぷうりば)を復元し,乗車券発売体験などに活用する予定.
写真はすべて平成筑豊鉄道のページから