東武鉄道は,2022(令和4)年度内を目途に,日光・鬼怒川エリアを走行する列車と都心から同エリアへ直通する特急列車にかかる電力相当を,実質的に再生可能エネルギー由来の電力に置き換えると発表した.これにより,同エリアの鉄道輸送にかかるCO2排出量実質ゼロを実現する.
東武グループでは,サステナビリティの考え方のもと,環境負荷低減を重要課題としてとらえ,鉄道車両の省エネルギー化や太陽光発電所による電力の創出など,さまざまな取組を実施している.日光・鬼怒川エリアにおいては,世界唯一の「歴史・文化・伝統と自然が共生する国際エコリゾート」を目指しており,2021(令和3)年10月からは環境配慮形・観光MaaS「NIKKO MaaS」のサービスを開始した.これらとあわせて,同エリアにおける環境負荷ゼロを実現し,沿線自治体などと協働しながら,エシカルトラベルのニーズにも対応するなど,多くの利用客に来てもらうことで同エリアの活性化に貢献する.
日光・鬼怒川では観光列車として電力を動力としない蒸気機関車・ディーゼル機関車を使用しているが,この列車におけるカーボンオフセットについても検討をすすめ,詳細については,決定次第発表される.
カーボンニュートラルの実現にあたっては,東武日光線下今市—東武日光間と東武鬼怒川線下今市—新藤原間(合計23.3km)で運転する列車・同エリア内の駅などで使用する施設,また都心から日光・鬼怒川エリアへ直通する特急「リバティ」・「スペーシア」などの特急列車にかかる使用電力相当について,東京電力エナジーパートナーのFIT非化石証書を活用したメニューなどを使用し,CO2排出量実質「ゼロ」となる電力に置き換える.なお,供給される非化石証明書付電力の一部については,トラッキング付FIT非化石証書を用いて,東武グループが保有する太陽光発電由来の環境価値が付いた電力を活用し,沿線地域の太陽光発電の環境価値も積極的に取り込みながら,地域の脱炭素化に貢献する.
また,鉄道における電力使用量の計画的な削減を図ることで,2030(令和12)年度における温室効果ガスであるCO2排出量を2013(平成25)年度と比較して,約50%削減できる見込みであると発表した.2021(令和3)年4月に,政府から2030(令和12)年度の温室効果ガス削減目標を2013(平成25)年度比で46%削減とすることが宣言されたことを受け,東武の中心的事業である鉄道事業において,一層の温室効果ガス削減の検討を進めてきた.
検討の結果,(1)省エネ車両への置き換え・保有車両数の適正化,(2)駅・車両などの照明LED化,(3)高効率変圧器への更新を積極的に進めていく計画を立てた場合,2030(令和12)年度に,2013(平成25)年度比で電力使用量の約30%削減を実現させるなど,さまざまな施策を実施することで,CO2排出量約50%削減を達成できる見込みであるとしている.
写真・画像はいずれも東武鉄道提供