鉄道友の会は,近畿日本鉄道80000系「ひのとり」を2021年のブルーリボン賞に,JR東日本E261系「サフィール踊り子」・JR東海「N700S」を2021年のローレル賞に選定したと発表した.
近畿日本鉄道80000系「ひのとり」は,2020(令和2)年3月に,21000系「アーバンライナーplus」・21020系「アーバンライナーnext」の後継として登場した.「ひのとり」の名称は,翼を大きく広げて飛翔する姿に,先進的でスピード感のある車体フォルムや艶感のある深い赤などの外観デザイン,ゆったりとした空間や上質なサービスを提供する気品ある車両のイメージを重ね合わせている.
コンセプトは「くつろぎのアップグレード」とし,これまでの名阪特急列車が継承してきた広くゆったりした快適性や,高品質で高機能な移動空間の提供をさらに追求している.ビジネス,観光,お出かけなどの多様な利用用途に対応し,車内からの眺望を楽しむことができる一方,悠久の歴史を育む沿線の伝統的景観とも調和しており,完成度が極めて高く魅力あふれる車両である点が高く評価された.
JR東日本E261系は,2020(令和2)年3月から営業運転を開始した“サフィール踊り子”用として導入された車両.
都市と観光地である伊豆との移動用に「大人のIZU 本物のIZU」をコンセプトに,全席グリーン席の8両編成で構成されている.1号車はグリーン車よりワンランク上のグレードである「プレミアムグリーン車」,2号車と3号車に個室グリーン車,4号車に食堂車(カフェテリア)を設定し,プレミアムグリーン車は1+1列配置の座席10列,グリーン車は1+2列配置の座席,個室は各車4室で6名用と4名用,カフェテリアは食事スペースにソファ席4席(2ヵ所)とカウンター席(8席)としている.
SiC素子による2レベル式インバータ制御などの最新技術を取り入れ,付加価値の高い移動空間と輸送ネットワークを提供する点が高く評価された.
JR東海「N700S」は,2020(令和2)年7月から営業運転を開始した.N700系以来の13年ぶりのフルモデルチェンジを行ない,「N700S」の「S」は,新幹線車両として「Supreme(最高の)」を意味する.
床下機器の小形軽量化を一層進めたことで,これまで不可能であった機器配置を可能とし,編成両数を柔軟に構成可能な標準車両を実現した.これにより大規模な設計変更をすることなく各地域のニーズにあわせた,柔軟な編成構成が実現でき,現時点では,西九州新幹線などへ6両編成での展開が計画されており,今後もさらなる展開が期待されている.
また,高速鉄道としては世界初となるバッテリ自走システムの搭載も行なわれており,停電時に橋梁やトンネル内で停止してしまった場合でも,架線からの電力供給を必要とせず自力走行で安全な場所まで移動を可能とした.
外観は東海道新幹線開業以来,一貫して用いてきた白地に青帯を踏襲し伝統を継承しつつ,先頭部の青帯は「Supreme」の「S」をモチーフとしたデザインとし,技術・サービスの向上で日々多くの乗客を快適,安定的に輸送する車両である点が高く評価された.
写真はいずれもイメージです.