東急電鉄は,2021(令和3)年度,安全安定輸送の基盤となる工事を中心に,約435億円の設備投資を行なうと発表した.
田園都市線では,引き続き2020系を9編成導入し,8500系の置換えを進める.2020系は,動作状態や機器状態を常に監視できる大容量情報管理装置を採用しており,設備不具合などを無線通信により把握できるほか,ビッグデータのリアルタイム蓄積を活用することで,メンテナンス性の向上や各機器の故障防止を図る.
目黒線では,輸送力増強を目的とした8両編成化に向け,引き続き車庫の整備や追加される2両分のホームドアを整備する.あわせて,目黒線車内の案内表示器をLED表示器から,運転状況や4ヵ国語対応など,必要な情報を文字やイラストなどの視覚情報を流すことが可能な液晶モニタに変更する.これにより,東急電鉄所属の目黒線全車両に液晶モニタが設置される.また,2022(令和4)年度下期の開業に向けて,東急新横浜線(日吉—新横浜間)の工事を進めており,整備主体である鉄道・運輸機構,乗入れ先である相模鉄道とも連携して開業準備を進める.奥沢駅では,駅の南北をつなぐ連絡デッキを整備し,2021(令和3)年度末の供用開始を目指す.また路線の速達性向上のため,奥沢駅構内の上り線を改修し,新たに待避線を整備する.
池上線では,長原駅において沿線の温かい雰囲気をコンセプトとした「木になるリニューアル」を進めており,2021(令和3)年秋の竣工を目指す.地上階の駅舎や店舗の一部は,東京都多摩地区で生産された多摩産材を活用し,木のぬくもりが感じられる軒下空間を演出することで,駅とまちが柔らかくつながる心地よい空間とする.
このほか,東横線都立大学駅では,外壁の補強工事とあわせて,屋根延伸の工事を実施する.また,大井町線の有料着席サービス「Qシート」については,実績などをふまえ,他路線への展開などサービス拡充の検討を進める.オリンピック・パラリンピック競技大会の会場最寄り駅を中心として,ホームと車両床面の段差・隙間縮小を進める.
異常時対応力の強化を目的に,老朽化した土木・電気設備の健全性を保つための維持更新工事や列車運行管理システムの更新を行なう.輸送障害発生時の支障区間を最小限にするため,田園都市線の用賀—二子玉川間に折返し運転施設を増設し,2021(令和3)年度中に運用を開始する.
自然災害対策では,大雨時に土砂が線路内に流入するのを防ぐための法面補強による土砂災害対策や,大雨時に屋外に設置している換気口から地下施設への浸水防止を目的に,換気口のかさ上げを行なう.2020(令和2)年度に引き続き,国土交通省の通達にもとづく耐震補強の優先度が高い柱の耐震補強を実施し,2021(令和3)年度中に完了する予定.
一部画像は,東急電鉄のニュースリリースから