JR九州・株式会社NSD・HOYA株式会社(MD部門 ReadSpeaker)では,スマートデバイスを用いた運転士向け支援アプリの拡張機能として「列車内自動放送アプリ」を開発し,2021(令和3)年3月13日(土)の筑肥線の一部ワンマン化にあわせて使用を開始すると発表した.
これまでもJR九州では,安全性の向上や異常時の運転再開迅速化などを目的として,鉄道事業の各部門において,スマートデバイス(iPad,iPhone)の導入を進めており,運転士のヒューマンエラー防止のため,iPad上で動作する「運転士支援アプリ」を独自開発し運用してきた.
一方で,JR九州のワンマン列車の列車内自動放送は,運転士が車両内の専用機器を操作しているが,機器の操作性に加え,多言語対応や放送内容の変更などのサービス向上やコストが課題となっていた.これらの課題を解決するとともに,「運転士支援アプリ」の品質向上や機能拡充を目的として,iPadで操作でき,専用の放送装置を必要としない「列車内自動放送アプリ」の開発に至った.
導入線区と車両は筑肥線・唐津線(姪浜—西唐津)で運転する303系・305系で,車掌乗務列車も含まれる.「列車内自動放送アプリ」については,HOYAの音声作成ソフト「ReadSpeaker」による音声合成を活用する.さらにJR九州システムソリューションズと資本業務提携し,先端技術を活用しDX分野で共創を行なう独立系SIerであるNSDと共同開発した.
これにより,操作性の簡素化や音声編集の低コスト化を実現し,列車内自動放送を専用機器から置き換える.あわせて,フレキシブルな放送内容変更や幅広い地域での多言語放送が可能になるとしている.
今後は,運転士用の時刻表電子化などの機能拡張を行ない,在来線に加え,特急や新幹線への適用に向けた汎用化を進める.また,同様のニーズがあるグループ会社(JR九州バス)への展開も検討する.
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