JR九州と株式会社グルーヴノーツは,持続的なモビリティサービスの実現に向けて,量子コンピュータなどの最新技術を活用した「鉄道車両の運用最適化」の検証プロジェクトを開始したと発表した.
鉄道車両の運用は,基本となるダイヤ(列車運行計画)にもとづいて計画を策定するが,車両の編成組替や検査・清掃作業などの時間的・場所的な制約を踏まえて,これまでは熟練者が経験により鉄道車両の編成や割当てを決めていた.プロジェクトでは,グルーヴノーツが提供するクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を活用し,量子コンピュータやAIなどの先端技術や高度な数理モデルなどを使用した車両最適化のシミュレーションモデルを構築し,実用化することを目指す.
今回の検証は,おもに福北ゆたか線と若松線を走行する車両を対象に実施する.また,本プロジェクトを通じて得た結果をもとに,ほかの路線への適用拡大や,旅客の需要予測などのプロジェクトも共同で進める予定.
JR九州では,新型コロナウイルス感染症の長期化により,鉄道事業における抜本的なコスト削減が急務となっており,鉄道車両の運用計画を最適化・自動化することで,車両の保有数を削減し,車両の維持コストや将来の老朽取替にかかる設備投資を抑制に繋げるとしている.
画像上:対象路線を走るBEC819系(愛称:DENCHA)
画像中:車両運用計画で考慮すべき要件(イメージ)
画像下:対象路線
画像はいずれもJR九州・グルーヴノーツ提供