日立製作所のグループ会社である日立レールイタリア社は,イタリアの中部に位置する都市フィレンツェで,蓄電池駆動トラムの試験運転に成功したと発表した.
試験の成功は,蓄電池を搭載した鉄道車両の世界市場への展開に向けた重要な一歩としており,今回の試験では,日立が製造し,すでにフィレンツェで運転されているトラム「Sirio」に蓄電池を搭載し,路線の一部において蓄電池駆動での走行試験を実施した.
従来のトラムは,電力の供給のために電柱などで支えられた架線が必要で,その設置のために多大な費用がかかるため,街の景観にも影響していた.蓄電池駆動トラムは,架線の設置にかかる費用を削減し,フィレンツェのような美しい歴史的な通りや街並みの景観への影響を軽減しつつも,都市の中心部において大容量の公共交通移動を可能とする.また,トラムの減速時に発生する回生電力を蓄電池に再充電することで,トータルでのエネルギー消費量を削減できるとしている.
日立では,世界中において環境に配慮した鉄道車両の導入に向けて取り組んでおり,英国では都市間鉄道車両として初の蓄電池車両の導入に向けた契約を締結し,日本においても長年,蓄電池を利用した鉄道車両の開発・製造に携わっている.また,欧州やアジアではトラムの製造に長い歴史を持ち,米州や英国ではトラムや地下鉄などのプロジェクトにも取り組んでいる.
写真:日立製作所WEBサイトから