東京地下鉄(東京メトロ)では,三菱電機と共同で開発してきた「故障予兆検知システム」を,2020(令和2)年10月から運用を開始すると発表した.
両社は,2018(平成30)年度から丸ノ内線2000系において,走行中の車両機器状態を総合指令所などから遠隔でモニタリングできる「車両情報監視・分析システム」を導入し,安全安定運行の実現や車両機器の状態を基準としたCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)による車両検査の深度化・効率化を実現するため,走行中の車両機器の動作データを自動分析し,故障の予兆を自動検知するシステムを共同で開発してきた.
「故障予兆検知システム」は,上記「車両情報監視・分析システム(TIMA)」の新機能として搭載するもので,TIMAによって収集,送信される車両機器の動作データを,システムが自動分析することで,故障の予兆を自動検知する.運用開始にあたっては,有楽町線・副都心線の10000系にシステムを搭載し,ブレーキ装置と電動空気圧縮機(コンプレッサ)を対象に分析を行なう.
特長は,車両に搭載された車両情報管理装置(TIS)に記録された各車両搭載機器の動作データを,高速大容量の無線通信でデータセンタへ随時伝送できるほか,TIMAデータセンタのデータ分析サーバへ伝送された動作データを自動で分析し,故障の予兆を検知・故障の予兆を検知した場合は,アラームとともに関係部署へ通知する.
早期に車両点検を実施することで,故障の発生を未然に防ぎ,また営業走行中各装置の状態を高頻度に測定・分析することで,検査の深度化を図る.このほか,過去に発生した故障のデータパターンや機器・部品の使用実績を照合し,機器・部品の寿命診断を行なうことで,検査の効率化を進める.
今後は,本システムを2021(令和3)年2月に営業開始予定の有楽町線・副都心線17000系車両にも展開する予定で,機器の対象についても制御装置や電源装置,保安装置などのさまざまな装置に拡大する.
特記以外の画像は東京メトロ提供