JR西日本は,在来線の軌道保線作業で用いる「レール削正車」と「マルチプルタイタンパ」を順次新製車両に取り替えると発表した.
同社では,近年の労働力不足への対応として,安全かつ少人数でメンテナンスができるよう,さまざまな取組を進めている.2019(令和元)年10月には,24時以降を中心に,最終電車の時刻を繰り上げるなど深夜帯ダイヤの見直しの検討に着手しており,「レール削正車」と「マルチプルタイタンパ」の新製車両を導入することで,さらなる省人化や生産性向上,労働環境改善を図る.
在来線の「レール削正車」は,車体下部に回転する砥石を複数個装備し走行しながら削る「砥石式」と,カッター状の刃を回転させ走行しながらレールを削る「ミリング式」があり,レールを削ることで,耐用年数を延ばし,省エネ・省資源化が可能となる.2020(令和2)年度から2022(令和4)年度(予定)にかけて砥石式3編成,ミリング式1編成を導入し,砥石式については既存車両2編成を取替え,1編成を増備,ミリング式については既存車両を継続使用として1編成を増備する.これにより,レール削正をするエリアが現状の近畿地方のみから近畿地方・中国地方に拡大するとともに,将来のレール交換作業量は約3割減少する見込みとしている.なお,総投資額(概算)は54億円となっている.
「マルチプルタイタンパ」は,レールを持ち上げて動かしながら,振動するツールを用いてマクラギ直下のバラストをつき固めることにより,レールの歪みを整正する車両で,2020(令和2)年度から2022(令和4)年度にかけて9編成を導入する予定.新製車両には安定化装置を追加し,夏場の施工を可能にすることで工事の平準化を図る.これにより,ピーク月の作業回数が約3割減少する見込みで,総投資額(概算)は63億円としている.
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