住友商事は,マニラ首都圏における都市旅客鉄道Manila Light Rail Transit System Line1(以下:LRT1号線)の運営・保守事業を行なうLight Rail Manila Corporation(以下:LRMC社)の株式約19.2パーセントを間接的に取得し,出資に参画すると発表した.
フィリピンはASEAN諸国の中でも高い経済成長を誇り,今後数十年にわたり人口増加が続くと予測されており,中でもマニラ首都圏においては,2035(令和17)年には現在の約1.3倍の1800万人まで人口が増加する見通しとしている.また,アジア開発銀行(ADB)によると,同首都圏はアジア278都市の中で最も交通渋滞が深刻な都市とされており,効率的かつ経済的な公共交通網の整備が喫緊の課題となっている.
LRT1号線はマニラ首都圏をマニラ湾に沿って,ケソン市ルーズベルト駅からパサイ市バクララン駅までの約20kmを南北に結ぶ路線である.LRMC社は,急速に増加する交通需要に対応すべく,2015(平成27)年に旅客鉄道事業に参画し,既存設備のリハビリ・改修や運行本数増加,路線延伸,他路線との接続向上に取り組んでおり,今後も輸送能力の拡充を図る.
住友商事は,これまでに国内外で積極的に鉄道関連ビジネスを展開しており,東南アジア,米国,東アジアを中心に数多くの鉄道建設案件,車両輸出案件を手掛けてきたが,東南アジアで旅客鉄道事業の運営に参画するのは今回が初めてとなる.マニラ首都圏では,複数の既存路線(LRT1号線,LRT2号線,MRT3号線)で受注実績を積んでおり,現在もMRT3号線において,リハビリ・メンテナンス契約や南北通勤鉄道向け車両納入契約を履行している.
今回,住友商事は,LRMC社および同社を構成するほかの株主とともに,LRT1号線の安全性や利便性の向上を図ることで,マニラ首都圏の交通ネットワークの強化に取り組む.また,交通渋滞の緩和による生活環境の改善と経済的損失の解消を実現することで,フィリピンの経済発展に寄与するとしている.
写真提供:住友商事