三井化学は,福岡県大牟田市にある大牟田工場の三井化学専用線(旧三池炭鉱専用鉄道)でかつて使用されていた無がい車とモータカーを,群馬県中之条町にある旧太子駅に移設したと発表した.
これは,三井化学専用線が2020(令和2)年5月を目途に廃止されることから,100年以上にわたり活躍した炭鉱電車への感謝と,未来に向けたレガシーとしての活用を検討する「ありがとう 炭鉱電車プロジェクト」の一環として実施されたもの.移設されたのは10t積無がい車である「ハト形」2両と保線用モータカー1両で,2020(令和2)年3月24日(火)に移設作業が実施された.
旧太子駅は鉄鉱石を搬出するため,1945(昭和20)年に日本鋼管群馬鉄山専用線として開業.1952(昭和27)に国鉄に移管され長野原線となったが,1970(昭和45)年の長野原線(現吾妻線)延伸に関連して運行を休止し,翌1971(昭和46)年5月に廃線となった.
その後,中之条町が中心となり,2018(平成30)年4月からは『日本一の「無蓋車」公園』として,復元されたホームやレール,駅舎の一般公開を開始.現在,ひたちなか海浜鉄道から移設されたトラ15と,「幻のトラ20000形」として外観が復元された大井川鐵道のト111なども展示されている.
写真はすべて三井化学提供