東芝インフラシステムズは,JR東海の次期特急車両であるHC85系試験走行車向けに,新形ハイブリッドシステムを納入したと発表した.
HC85系は,既存のキハ85系の置き換えに備えJR東海が開発した次期特急車両で,エンジンで発電した電力とバッテリに貯めた電力とを組合せ,モータを駆動して走行するハイブリッド方式を採用している.このうち東芝インフラシステムズは,モータ・発電機・バッテリ・車両制御装置・主幹制御器を納入した.
全閉式永久磁石同期モータ(PMSM)と全閉式永久磁石同期発電機(PMSG)は,ともに定格効率97%を実現する高効率な回転機で,エンジン出力を車輪に伝える効率は,モータおよび発電機に開放形の誘導機を使用した従来形のシステムと比較して10%以上向上している.今回,小形で高出力なPMSGを新たに開発したことで,日本で初めて同時に採用することが可能となった.また,モータ・発電機ともに,全閉構造により低騒音化と内部清掃を不要として,メンテナンスの簡素化を実現している.
バッテリには東芝インフラシステムズ製のリチウムイオン二次電池「SCiB™」を採用.ブレーキ時に発生する回生電力を充電し,駅停車時のアイドリングストップと加速時にこの電力を使用することで,エネルギーを効率的に使用.燃費は従来に比べ15%向上し,高い環境性能の実現に貢献するとしている.
車両制御装置は,車両の駆動用回路に加え,バッテリ充放電用と車両の補助電源用回路を一体化したコンパクトなパワーユニットを開発.従来の空冷方式では装置外側の冷却フィンの設置が必要だったが,パワーユニットとバッテリの両方を水冷方式とすることで空冷フィンをなくし,小形・軽量化を実現した.また,小形化により,車両制御装置内にバッテリを収納できたことで,すべての駆動システムを車両の床下に搭載することが可能となった.主幹制御器については,従来に比べ,耐久性の高いものが開発,採用されている.
写真は特記以外東芝インフラシステムズ提供