デンソーウェーブでは,自動車用衝突防止センサ技術をベースにした新形踏切障害物検知装置「ZONE D-RX」を開発したと発表した.
同社では,親会社であるデンソーが開発した自動車用センサ技術をもとに,2013(平成25)年からセキュリティー用途のレーザーセンサを開発・販売を行なってきており,2017(平成29)年からは近畿日本鉄道と共同で踏切障害物検知装置向けの共同開発を開始し,研究と実証を進めてきた.
従来,レーザーセンサはレーザー光を照射し,反射光を測定して物体の有無を判断していたため,光の吸収率が高い黒色の物体や,表面が鏡面仕上げのような物体の場合はレーザー光の十分な反射光量が得られず,センサで検知しづらいという課題があった.これらの課題に対し,新製品の「ZONE D-RX」は,検知対象エリアの中に高反射素材製のポールを設置して常時検知することで,黒い車両など反射光量を得られない物体が検知エリア内に侵入した時は,このポールが検知できなくなるため,エリア内の侵入物が存在すると判断.この特許取得技術により,従来機と比較してより確実に検知できるようになっている.
また,CPUを二重化して相互に監視することで,万一CPUの一方に不調が発生した際でも,もう一方のCPUでエラーを認識できるフェールセーフ性も向上させている.これにより,公益財団法人 鉄道総合技術研究所の安全性評価も受審しており,踏切における安心・安全対策に貢献することができるとしている.
今後は鉄道向け信号メーカとも協力し,鉄道事業者各社への提案や活用・導入の場を広げていくとしている.また装置は,2019(令和元)年11月27日(水)から29日(金)までの間,千葉県幕張市で開催される「第6回鉄道技術展」で初展示され,2020(令和2)年夏の発売を予定している.