JR東日本は,JR東海と協力し,有楽町—新橋間の内山下町橋高架下の空間(約10000㎡)について,新たな商業空間などの開発を進めると発表した.
この計画は,JR東日本のグループ経営ビジョン「変革 2027」において,「ヒトを起点とした新たな価値・サービスの創造」として高架下スペースの再生を図る計画を推進しており,100年以上の歴史を刻む煉瓦アーチ高架橋と東海道線・東海道新幹線の高架橋が一体となって生まれた高架下空間を活かし,新たな商業施設として再生するプロジェクトとして進める.
JR東海用地(東海道新幹線高架橋)は,有楽町側と新橋側の両端のみにおいて公道に接道しており,一方のJR東日本用地(山手線・京浜東北線高架橋,東海道線高架橋)は,高架下空間がアーチにより個々に細かく区切られるというそれぞれの制約が生じていたが,今回の開発にあわせて,両社それぞれが所有する用地区分に関わらず,相互に協力して開発エリアが最適となるよう区分を設定.これにより,連続性や回遊性の高い開発計画を具現化するとともに,今後連携しながらそれぞれの開発工事を進めることで合意した.
高架下については,連続した高架柱が特徴の300mにおよぶ通路を整備し,日比谷側へ5ヵ所の出入口を設置することで,街に開かれた高架下として新たな回遊性のある商業空間を創出する.また,1910年に作られた煉瓦を活かし,次の100年も街のシンボルとなるように美化・整備する.
JR東日本が開発するエリアについては,大きく3ゾーンとし,さまざまなスタイルのバーと上質な食体験を提供する「大人のナイトタイムを楽しめるゾーン」,高架下らしく気軽に通える飲食店や自分らしい時間を過ごせるカフェが集まる「飲食ゾーン」,新しいスイーツや技術・素材にこだわった逸品が並ぶ「食物販・雑貨・ファッションゾーン」の商業空間とする.
施設名称は,「日比谷 OKUROJI(ヒビヤ オクロジ)」とし,銀座・日比谷の「奥」という立地に,「路地」という施設性を加えることで密かな穴場感を醸成.深いこだわりと100年の歴史が潜む場を表現した.
JR東海が開発するエリアについては,東京駅にある「東京グルメゾン」に続く,バラエティ豊かな飲食店舗の集まるグルメスポットの第2弾として,施設名称を「日比谷グルメゾン」に決定.エリアでは,人気で話題性のある個性豊かな飲食店を集積させることで,東京オリンピック・パラリンピックをはじめ国内外からの利用者に食のトレンドを発信するとしている.
今後は,運営会社となるJR東日本グループのジェイアール東日本都市開発と,JR東海グループの東京ステーション開発が開発を進め,2020年初夏の開業を目指す.