札幌市交通局,2020年度に路面電車事業を上下分離方式へ

札幌市交通局 A1200形

写真:札幌市交通局A1200形  編集部撮影  交通局電車事業所にて  2013-3-30(取材協力:札幌市交通局)

札幌市交通局では,路面電車事業について,2020(令和2)年度に上下分離方式を導入する準備を進めると発表した.

 上下分離とは,旅客運送主体と施設・車両の保有整備主体を切り分け,それぞれが運送,整備の免許(特許)を取得して事業を営む仕組み.現在は,同局がこれらの業務を一体で行なっているが,上下分離後は,施設・車両の保有整備は交通局が担い,旅客運送は一般財団法人札幌市交通事業振興公社が担うとしている.
 これにより,経営基盤の強化,安全管理体制の維持・継続,新たな事業者による利用者サービスの向上などが可能となる.また,交通局が引き続き施設・車両の保有整備を担うことで,路面電車を札幌市のまちづくりに活用することや,安全で便利な公共交通機関としての役割を維持できることなど,路面電車を将来世代へ引き継ぐことが可能となる.さらに,同局が公営交通事業に附帯する事業(現状では広告・不動産貸付けなど)を行なう場合,地方公営企業法などの制約を受けることとなるが,上下分離後は,新たな運送事業者(公社)による柔軟な発想によって事業展開を進めていくことが可能となり,さまざまな利用者サービスの取組み・向上が期待されるとしている.
 上下分離へ移行する際は,これまでと変わらない安全管理体制を確保するため,運送事業者(公社)に対して現在路面電車事業に従事している交通局の正職員を派遣するとともに,現在運行に従事している非常勤運転手を公社に移籍させるなど,現行の運行体制と同じ体制とすることで,安全運行の確保を図る.あわせて,上下分離移行後も計画的な人材育成・技術継承も行なう.また,安全に関する課題などを協議する場として,整備事業者(交通局)と運送事業者(公社)による連携・連絡組織を設置するなど,確実な安全運行に向けた取り組みを実施する.
 乗車料金や運行ダイヤなどの利用者サービスは,上下分離後は運送事業者(公社)により決定されるが,引き続き,現在と同じ水準を維持する予定.
 なお,旅客運送の担い手を札幌市交通事業振興公社とした理由については,上下分離の導入後も安全運行を確保していくためには,運送事業者(公社)と整備事業者(交通局)との密接な連携が必要不可欠であるとし,路面電車を今後もまちづくりに活用していくためには,札幌市の考えを踏まえて運送事業を運営することができる事業者が望ましいことから,同市の出資団体であり,交通局と駅業務などで連携実績がある同公社を指定したとしている.

2019年6月10日掲載