黒部峡谷鉄道では,2019(令和元)年6月1日(土),3100形増備車が営業運転を開始した.
3100形は2011(平成23)年から導入されている客車で,2016(平成28)年までに22両が製造されている.今回導入されたのは,欅平方からボハフ3151+ボハ3152+ボハ3153+ボハ3154+ボハ3155+ボハフ3156の6両編成.車体は全鋼製でアルナ車両で製造された.宇奈月方のボハフ3156には,バリアフリー対応として車椅子スペースが設けられたほか,各車に緊急時の避難用として非常口と貫通路が設置されている.
これまでの3100形は,新緑の緑と紅葉の赤をイメージしたカラーリングであったが,今回の増備車の導入にあたり外観デザインについて社内公募を実施し,計52案の中から優秀作品を選定した作品案をベースに,車両メーカーデザイナーのアイデアを織り交ぜて製作した新しいカラーリングが採用されている.黒部峡谷鉄道の原点である電源開発の歴史と伝統を継承すべく関電色(マルーン)をベースに,窓まわりをクリームで塗装し,アクセントとして金色のラインが入ったもので,黒部峡谷鉄道のロゴや,葉の模様などもあしらわれた,かわいらしいレトロ調のトロッコ列車となっている.
内装は,自然環境への調和と,乗客が安らぎを感じられるように,木目調のデザインとした.また,省エネ対応として,室内灯がこれまでの3100形で採用されていた蛍光灯からLED灯に変更されている.
初日は,欅平方にボハフ1141+ボハ1142+ボハ1143+ボハ1144+ボハ1145+ボハ1146+ボハフ1147を連結した13両編成で,宇奈月9:21発→欅平10:39着,欅平11:04発→宇奈月12:23着,宇奈月12:50発→欅平14:12着,欅平14:37発→宇奈月15:54着の列車に使用された.2往復とも,2019(平成31)年4月に新製されたEDV36とEDV37(2機とも関西電力名義)の重連がけん引している.
今回の3100形増備車の導入により,2000形6連が置き換えられ,残る2000形客車はボハフ2011+ボハ2012+ボハ2013+ボハ2014+ボハ2015+ボハフ2016の6両となる.
写真はいずれも百々貴俊撮影(取材協力:黒部峡谷鉄道)