鉄道友の会は,小田急70000形「GSE」を2019年のブルーリボン賞に,相模鉄道20000系・叡山電鉄デオ730形「ひえい」を2019年のローレル賞に選定したと発表した.
小田急70000形「GSE」は,60000形「MSE」以来10年ぶりに投入された特急ロマンスカーで,2018(平成30)年3月から営業運転を開始した.展望席やスタイリッシュな車体デザインなど小田急ロマンスカーとしての伝統を継承しつつ,最新の設備・技術を惜しみなく導入してユニバーサルデザインの積極推進や,環境負荷の低減を図るなど,現代の鉄道車両のトレンドリーダーにふさわしい,高い完成度に仕上げられた点が高く評価された.
相模鉄道20000系は,2019(令和元)年11月30日(土)に開業予定の相鉄・JR直通線の一部である相鉄新横浜線を経由し,2022(令和4)年度下期に開業予定の東急新横浜線から東急各線への直通運転を考慮した車両として登場した.設計思想は,同社の創立100周年を機に進めている「デザインブランドアッププロジェクト」にもとづき,車体色・前面デザイン・車内照明の統一コンセプトを掲げている.100年の節目に都心直通を実現するにあたり,共通化という前提のもとで限られた独自性を見出す車両が増加する中にあって,明確なコンセプトを策定した後に共通化に対応させるという意欲を鮮明に打ち出した点などが高く評価された.
叡山電鉄デオ730形「ひえい」は,近年の利用客増加に対応して「比叡山・びわ湖観光ルート」をさらに進行させるために,デオ730形732号を改造し,出町柳—八瀬比叡山口間を14分で結ぶ観光用車両として登場.鞍馬線用の展望車両デオ900形「きらら」に続き,叡山本線にも特別料金が不要な新たなデザインの観光列車を定着させて国内外からの利用客に対応し,同時に沿線の通勤通学輸送に潤いをもたらすよう貢献しているなど点が評価された.