JR貨物では,2019年度事業計画を発表した.
このなかで,鉄道施設の整備に関する計画では,「安全の確立」,「安定輸送の確保」に資する鉄道施設の整備・更新を継続して実施するとしており,車両については,機関車の新製(EF210形300番台・DD200形・HD300形)を進める.車両故障による輸送障害を未然に防止するため,老朽車両の取替えを計画的に進めるとともに,脱線事故の対策としてコンテナ車の台車構成部品の特性見直しを検討する.また新たに開発・導入した「車両管理システム」のサポートにより,車両の使用可否判断を行ない,検査業務をよりスムーズかつ確実に実施する.
輸送設備の維持更新として,まくらぎの鉄まくらぎ化や,土木・電気設備の更新,電車線設備の更新を実施する.経営体質の改善では,運転系基幹システムの改良・更新や,駅作業予約システム(携帯アプリ)の開発など各システム導入による省力化を推進する.
保安・防災関係では,東京貨物ターミナル駅高度利用プロジェクトの推進や仙台貨物ターミナル駅移転,横浜羽沢駅のE&S(着発線荷役)化工事を実施するほか,貨車に関しては手ブレーキ検知システムを開発・導入する.また,災害時における貨物駅機能を強靭化するため,静岡貨物駅コンテナホーム拡幅の設計に着手するとともに,強靭化のために必要な駅設備の拡充を引き続き検討する.あわせて「平成30年7月豪雨」での山陽本線不通時において課題となった,トラック駐車場や宿泊施設についても迅速に対応できるよう事前の選定などを進める.
また,収入の確保,サービス改善および経費削減,生産性向上に直結する投資を推進するとともに,業務創造推進プロジェクトやIoTやビッグデータ,AIなどの技術の進展を見据え,時代を先取りした技術革新を具体化する投資に取り組み鉄道事業の基盤強化を図る.
このほか,鉄道事業の新たな柱として海外事業を展開し,タイにおける鉄道貨物輸送事業への参画の検討や,インドで日系企業が事業化を検討している完成車輸送事業への参画も検討する.さらにミャンマーの鉄道改善調査業務や,マレーシア国鉄での車両メンテナンス・駅業務効率化などの業務支援,ベトナム,ブラジルでの各種事業への参入を検討する.