しなの鉄道では,開業時から使用している115系を置き換えるため,新形車両SR1系を2020年から順次導入すると発表した.
同社では,国・県・市町の支援のもと2019年度から8年かけて新形車両52両に置き換える計画で,初年度は利便性の向上,観光振興を主目的に復活させるライナー用車両(6両)を導入し,以降は一般用車両を2020年・2021年度に各8両,2026年度までに各6両導入する.なお,初年度のライナー車両は2020年3月に納車され,2020年7月から営業運転を開始する予定.
SR1系は,総合車両製作所の「サスティナ」S23シリーズの2両編成で,車両形式のSR1(エス・アール・イチ)は「Shinano Railway 1」から頭文字を取り,「新たな歴史の始まり」や「オリジナル」を意味に込めた.一般車両・ライナー車両とも,バリアフリートイレ,ドア開閉ボタン,車内案内表示英語案内などを設置する.ライナー車両にはデュアルシート,Wi-Fi,電源コンセント,カップホルダーが設置される.車両デザインは,6社によるデザインコンペを実施し,14種類の中から,しなの鉄道社員により選定されたもの.
一般車両のデザインは,コンセプトを「〜地域に寄り添い、その先の未来へ〜」とし,エクステリアデザインについては,しなの鉄道らしさの象徴である115系車両の「赤」を継承し,赤は,地域や利用客に寄せる「情熱」と「温かさ」を表現している.また,車両両端の曲線は,利用客や地域を包み込む「やさしさ」を,ゴールドラインは「地域の未来へ挑戦していく姿勢」を,中央のラインは,沿線地域をひとつに「つなぐ」「力をあわせる」を表現した.
座席には,シンボルカラーであり暖かみのある「赤」を背面に,座面には,落ち着いた濃い「グレー」を使用した.壁面は,白をベースに側面に薄い木目を使い上品で癒される空間としている.
ライナー用車両のデザインは,コンセプトを「〜沿線に爽やかな新風を〜」とし,エクステリアデザインについては,信州の「爽やかな風」「沿線の豊かな風景」を表現.色合いは,ロイヤルブルーとシャンパンゴールドで,旅の上質感と高級感を演出している.また,サイドの緑と水色のラインは,沿線の「山並み」と「清流」を表現し,シャンパンゴールドの4本線は,115系車両のDNAを継承している.シンボルマークとして,12枚のリーフと,沿線の11市町と長野県を象徴し,各市町・県がつながることで輝かせる太陽をイメージしたものが設定されている.
座席は,温かみのある赤をベースに信州特産の「リンゴ」をデザインし,床は落ち着いた木目調のブラウンとした.
なお,ライナー車両は,平日朝夕の通勤利用と土日祝日の観光利用時は有料での運用とし,それ以外は一般車両として運転する.名称(予定)は,しなのサンライズ(朝方,小諸—長野間)・しなのサンセット(夕方,長野—上田間)・軽井沢リゾートライナー(軽井沢—妙高高原間,長野—軽井沢間)とし,詳細は2020年1月までに発表される.