日立製作所(以下:日立)は,YAMAGATA,京都機械工具と共同で,AR(拡張現実)技術を利用した鉄道車両向けのボルト締結作業管理システムを開発したと発表した.
鉄道車両製造では,機器類を固定するボルトが走行中も緩むことがないよう,確実にボルトを締める必要があり,これまで日立では,PCにより締結力の判定と記録を自動的に行なう「デジタルトルクレンチシステム」を使用し,自動で締結力の判定と結果の記録を実施していた.この方法では,作業者はタブレットPC上で作業対象のボルトを選択,指定する必要があり,作業者はタブレットPCで選択したボルトと実物のボルトが相違ないことを確認して締めつけ作業を行なうが,タブレットPC上で指定したボルトと実際に締結したボルトが一致しているかの確認は,自動的に判定できず,作業ごとに作業者と検査員などによる複数回の安全性・品質確認を行なっていた.
新しいシステムは,従来の「デジタルトルクレンチシステム」に加え,ヘッドマウント形スマート端末を利用したAR技術を導入し,締結作業全体のデジタル処理による自動での合否判定を行なう.作業者が装着するヘッドマウント形スマート端末のディスプレイ上には,締結すべきボルトの位置を3Dで表示.表示どおりのボルトを規定の力で締めることができたかをメーターで確認できると同時に,デジタル処理によって自動的に管理することができる.
今後は,新システムの現場実証を重ね,2019年度下期の実運用を目指す.なお,新しいシステムは,2019(平成31)年1月16日(水)から18日(金)に東京ビッグサイトで開催される「第11回オートモーティブワールド」のYAMAGATAのブースで展示される予定.
なお,ARは「拡張現実」と言われ,VR「仮想現実」の変種で,現実の一部を改変できる技術とされている.
図:日立製作所のニュースリリースから