阪急電鉄と神戸市は,北神急行線に関して協議を開始したと発表した.
1988(昭和63)年4月2日に新神戸—谷上間が開業した北神急行線は,相互乗入れを行なっている神戸市営地下鉄山手線とあわせて,谷上から三宮・県庁前といった神戸市中心部まで約10分という優れたアクセス性を有し,通勤・通学の足として,また台風・豪雨などの発生時にも神戸市中心部と北区を結ぶ公共交通インフラとして極めて重要な役割を担っている.一方で,これまで北神急行電鉄の自助努力のほか,神戸市をはじめとした関係者が運賃低減など,さまざまな支援を講じてきたものの,ほかの交通機関に比べ運賃が高いことなどから乗車人員は伸び悩んでいる.
そこで,神戸市では,今後人口減少社会・高齢社会を迎える状況の中,北神急行線を安定的に運営し,利用者利便性の向上を図ることが,北区・北神地域の更なる魅力向上につながるものであるとの認識のもと,運賃低減に向けた検討として,神戸市交通局での一体的運営(阪急電鉄グループからの資産譲受)の可能性について,阪急電鉄に協議を開始することを提案した.
阪急電鉄では,今回の提案はグループの重要な事業拠点である神戸三宮の活性化につながるものと考え,神戸市との協議に応じることとした.
現行の運賃では,神戸市営地下鉄西神・山手線の三宮—西神中央間の運賃が400円(所要時間約30分)である一方,三宮—谷上間の運賃は540円となっており,運賃の値下げが実現するのか,今後の動向が注目される.
写真:北神急行電鉄 7000系 編集部撮影 谷上車両基地にて 1987-10-18